傷を負い太陽たっぷり盗まれる

良く言えば桜に近くなっている

饒舌な君の向こうに蜃気楼

痛みを自覚すれば
桜蕊降る
誰も通らぬ街角へ

君がいるから
世界があって
暇だと言うから
何を持とうか
どれを捨てるか

ねむれない容積の中で
よるの頬杖を組み立　　ててから

砕けた夜の狭間
ぬるりと私ああああああ

絶え間なく静けさだけを搾る夜

眠りから現に落ちて
夢の尾が
ラムネのように光に溶ける

コーナー席の会話ひばりの雨宿り

ぜんぶ咲いてこんなもんかよ咲け
さくら

ほんの少しの嘘混ぜる
今日の話は
白湯の冷や割り

算数の役に立つとき
口開けて倒れてるとき
歯医者の椅子で

水溜り絶えざる波紋
神さまの視点
戦火の消えざる地表

この部屋で私はゆるり羽化を待つ
春の事典を床に広げて

透明な水がふりつもった海の
磯巾着に訪れる
夜

気晴らしに生きている
種蒔いてみる

恋だった
いちごゼリーはきらきらと
易く崩れる記憶のかけら

水槽の飾りの鳥居訊かれれば語る
秘密は苔むしていた

汗ばんだ背骨へ
ぬるい頬をよせ
ざらめのように凪ぐはるの夜

愛されたままでいさせて月曜日
（続きは明日の折込チラシで）

僕たちが
Ｙ字路だったとするならば
君の方には自販機がある

「できない」と「しない」は
違う意味を持つ
セックスレスは夜の対義語

新入りは造花に水を長閑な日

ファミレスの
跡地で聞いた西野カナ

川の背に独りよがりな寂しさを
打ち明け乗せて海まで運べ

サルビアが心臓なら　鳳仙花は癌
母さん、戻ってこないけど

ずっと言ってんの

桜吹雪
いつ終わるともわからない
時間の中にいるだけの

暮の春
ファミレス跡地巻き戻す

内臓を増やしてお待ちしています

人を殺さぬように
かがった言葉は
おもさのない金属片

何も言わなければ静か冬の薔薇

菜の花が次第に減ってゆく日々の
夏への速度息継ぎ浅く

酒に呑まれて金曜日
日付は跨げど朝は来ぬ

資本主義の樹海を歩く
探し物は
己がいのちの使い方

靡く風見えるものすべて美しい
 お願いはやく 嫌いになりたい

風吹けば
3.2秒の
はなふぶき

それはひばりか笑ひ
つづけて死ね我よ

雨宿り
ブルーハワイの名付け親

冬、
きれいなオカマの後をついてく時
「ママ」と風が強かったこと。

食用のアザミの食べられない部分

春の泥鼻血と雑ざるゴーリー忌

(2000年4月15日没)

やさしさはたぶん
いちごの先っぽを
全部あなたにかじらせること

川沿いの自転車
顔に当たる春はよけて

目刺噛む草むらにアーッがひびく

手を振って問題ないという君の
顔は全然ごまかせてない

時間よ止まれ、が
早く終われに変わった時
あなたと私は

森に響く銃声みたいな頭痛薬も
私の身体に入って消えた

レーシックを受けても満月

作業長のヘッドライト
都市計画を映し出す
その中に私はいない

本心を子猫のように抱き上げる
いつかあなたにもらって欲しい

ルービックキューブ
　　　　　きらきら
　抱卵期

春惜しむ。求肥の中で犇めいて

 河になるから、
すくってください
できたら両手で、
すくってください

「柴っちょの嫁が
　　　　　キモッて言ってたよ」

三十一文字でぞ　やるやん

その割り箸は
かつて風車だった

殺ったのはケーキ
だけど
ナイフはケーキをかばう　
それがユートピアだから

なにもかも私のせいにする人の
パンツを今日もきれいに畳む

歯ブラシを買って夜桜持ち帰る