ほんだなの
奥へ隠した
こいぶみに
らっこの瞳をとじこめている

かなしみは
いつも
ほほえみながら来る

ねえちゃん、と
きみが
呼ばなくなった日の
にじは　水泡みたいにひかる

ほんだなの奥
から
ばにらの匂いの
月　をとりだす

ゆめを見る
ように
あなたの手にふれて
死すら
とおくの銀河でもえる

振り払うための
かたちを保てない
波浪のような　にんげんのうで

記憶　より
五センチ
うすい母の背の、
今日をねぎらうせっけんの泡

人生をむだづかいする
日
もあって
パンにろくまいチーズを乗せた

ベランダへ
伸ばす
素足はふたりぶん
おかめいんこのような土曜日

すいれんの閉じる
に併せ
ねむる祖母の
まぶたに溜まる月光のあお

サバンナのひかりを
髪にふくませて
ぶらんこを漕ぐおとうと、ごさい

さくらがいの
触れ合うようなこわいろで
きみがしるした離散数学

ねこだけの惑星があり沈丁花

自傷行為
として
こおりを噛むときの
日焼けしてゆくセーラーの襟

白ばらのように
海辺をふみながら
すべての春を見過ごしている

うみの声
爆ぜるばかりの
ゆうやみを閉じ込めている
翡翠のピアス

しちゅーぱんの
ように
籠もったやさしさで
祖母のちいさな背を拭いている

ばんそうこう
剥がしきれずに夜光虫
など
をあなたと見ていたいだけ

はなさきを寄せ合う
だけで
かなしい、が
分かるぐらいにまんかいの春

きずぐちが
薔薇のしんめを育むと
しんじてるから　じっとしている

なだれ込むばかりの
濡れたかなしみを
春のこかげとして受け入れる

咲き初める　という
動詞に込められた
いのりのような陽だまりを抱く

じだんだを
すすきのように受け流す
母の　ほっきょくぐまのまなざし

にゃふ、にゃふと
ふたつ咳き込む友の手に
あぶらつやめくゲルニカの模写

よざくらの発光
じょじょに淡くなり
きみの眼窩のみずぎわを　押す

花のかげみたいに
ふかい哀愁を
かかえて、恋をあきらめる　朝

ぽっぷこーんのあかるさは孤独

うさぎの名
まよいつつ見る春の雲

はるうらら
ひともさくらも散るときは
ひとり
あなたへぎゃっこうが射す

すきだった人
に
わたしは退化して
きみは背びれものこさずに去る

さんがつの眼は
濡れながら降りつづき
きみをおふぃーりあにしたかった

聖書にはない
昏がりをだいている
ろうときょうから　淡墨のいき

さんずいの
ように
途切れたちんもくへ
きみは母音のといきをもらす

汗ばんだ背骨へ
ぬるい頬をよせ
ざらめのように凪ぐはるの夜

さくらばな、ほどの
微熱を
きょうこつに
かかえて蛹化する  ひるさがり

はなびらの
   点字を
たどるいもうとの
髪にながれる夜風のひかり

こいびとのあたまを胸に抱きこん
でねむればぎんがけいめく小部屋

みもざ咲く丘を
あなたと駆け下りて
こどう をえいえんにしたかった

さとうづけのみかん
のようなあざとさで
　恋　と名のつくすべてをうばう

仔犬抱き上げ
木洩れ日のファンファーレ

顔も知らぬ
父の生家に向かうとき
わたしウォーターリリーのつるぎ

むーみんのように
陽なたのあぜみちを
ぽちてぽちてと駆けるおとうと

そらんじる
ための
詩歌をだいている
ふたりで花を見せ合いましょう

さみだれの底を
素足でかえりくる
祖母の鬼火のようなあしどり

雨あがりの坂を
もむもむ駆け上がる
いなほのようなこーぎーの足

ずんむりと
濡れたからだを引き上げて
くるぶしに棲むにんぎょのなごり

くるぶしの
淡いひかりを抱き寄せて
聖書のように  ねむるいもうと

まみどりのひかりに溺れながら往
く理学部棟の床やわらかい

うみかぜのはどう
を
頬に受けながら
火としてしんでしまいたい だけ

くるしみに
食べられそうな夜
に聴く
こぶねのようなあなたの寝息

ふきげんなわたしに
蝶としてふれる
きみは ほころぶことのない風

はなうたを紡ぐ
ことり
を
閉じ込めて
銀河 に 溺死 してしまおうか

きみが吐く
息のすべてを詩に変えて
しろいひばなのような夜明けだ

神託を受けた
しょうじょの顔をして
ほっとけーきのようにめざめる

さようなら、
夏のこよみが枯れるほど
遠いひかりの果てで会いましょう

うまれたての雲を
両手におどらせる
ようにあなたはピアノにふれる

かなしみの破戒
こべやのへりに来て
ただ あめやみを待っているだけ

せみとりに
向かう
背すじのりんとして
五さいになったおとうとは風

海をみにいこう、と
きみが言ったから
ねもふぃらの咲く丘でまってる

飛んでいる
鳥の翼の逆光は
見上げるひとのためだけにある

一人称変えて葉月の風に立つ

じてんしゃで
風
をおいこす
夏の日のきみが
せかいのはじまりだった

十九のいま揺らぎつつ
はつこいの終わり
へ
まっさかさまの晴天

感電のように
ひらめく
夏に居て
孤独はだれのみかたでもない

ねこの耳
に
在る秋風をくすぐって
まださよならがすきだと思う

きつね火に似た
かんじょうを濡らしつつ
きみをひつぎとして抱きしめる

水ふうせん
ぱ、しゅんと砕き
えいえんの汀の海を覗かせてやる

くちびるを
押し当てながら見る月の
ぼやけて、思慕はほどけゆく太刀

いもうとの胸に
月光しずみゆき
葉牡丹のようにじゅうだい終わる

あきかぜの波に
寝ぐせをそよがせて
こぐまのようにきょうだい走る

いぬの鼻の
いつもひかりを吸うかたち

ぺんぎんの
ひなを
ふたりで見つめれば
むごんに春のひだまり満ちる

かーてんの
裏で
ふくらむ秋の陽の
焦げたバターのようなしきさい

まがたまとして終戦の日をねむる

かいじゅうの
ように
驟雨をなぎたおし
きみの待つ駅まで駆け抜ける

泣き終えた後のすっからかんの空

なのはなの新芽を
なでてゆくように
きみがはじめて下の名を呼ぶ

祖母の骨
ひろう
右手のよどみなく
思慕は五感のようにあやうい

斜陽転じてぼくだけのぺるせぽね

洗い終えた
犬のたましいごと撫でる

せんめんだい
覗き込むとき
にんげん
の
ひとみは永遠をひかる新月

くろわっさん
わしゅわしゅ齧りきみ
と見た星のすべてをおもいだす朝

おうごんの
うぶげに
頬をまもらせて
土偶のようにいもうとねむる

取り込んだシーツの
海をたゆたって
ぎんがを知っているねこのひげ

ひかりとは
宛て先のない手紙

ローファーの底
すこしずつ擦り減って
そつぎょう、までの日々へ夕映え

恋を終えたセーラー服
を
ぬぎ捨てて
ぐんじょう色にはじまる脱皮

せっけんの泡
ほむほむ
と生みだして
神話のようなきみの手のひら

心臓をひらけばいちめんの無花果

花束を抱くとき樹木めくあばら

まふらーをじっと
巻かれている祖母の
ねむる仔ぐまのようなよこがお

むーみんを抱いて
さくらのゆめを見る
きみの寝相はバンビのかたち

ぽにゅぽにゅと
うさぎの耳
を揉みながら
もくれんの花ひらく日を待つ

叱られて
ちんまりしゃがむ
いもうとの
しょうにゅうどうのような沈黙

親友とわかれて
坂をくだる日の
あっぷるぱいのような夕暮れ

むぼうびに背中をあずけ
きみといる日々へ
射し込む萌黄のひかり

おとうとの冬
の
こどうを聴きながら
かむぱねるらのようにねむった

ふたりから
いつか
ひとりになる日々も
ぽたーじゅだけで生きのびてみる

しおかぜに吹かれて
春をまっている
つぼみのような ちわわのあたま

婚前の姉の恥骨を長い箸

焼き過ぎの葱甘過ぎの戦後鬱

殺すとき
ルビの世界の海象が
にじり寄り生あたたかい息

ざぶざぶと抱き寄せられて贋の雨

もう肌の色で議論は生まれない
色のすべてに淋しみを見よ

俺の愛、俺の淫魔が帰る穢土

メンデルの性技巧みに猿を超え
神の裁きは未だ訪れず

寒雷を化かし合う核テロ祭り

向こうでも競技場デザインコンペ

「戦争を知らない」と言うことに
何故、幾許かの後ろめたさがある

哺乳瓶の頃から
騙され慣れてはいるので
政権を疑ったことが無い

本物の毒は虹色
虹色の毒が売られている街に虹

よく聴くと、
　ひずむ　
　　心音、
よく、聴いて

せみの脱殼のぬけがら被ばくの地

おっぱいに酢をふりかけて
おっぱいが酸っぱい

（何を信じればいい？）

猿園の猿の順位を憶測し
低そうなのに渡す毒の柿

夢魔招く娘の髪を黒葡萄

ひにん。
って、赤えびみたい
生きたくて、
急に浅瀬を後ろ跳びする

性・愛に飽きて
三角木馬の
嘶き

神経の森がアニマを隠す夜の
自殖に取り掛かる百合の花

投げる時、実は性器が揺れている
ことを気になってしまった負ける

性交はピストンに似て
（似せていて）
キカイの目では愛が視えない

陰茎を割れば紳士が住んでいて
コーヒー豆を挽いてたりする

核の王アンゴルモアのシナリオに
今でも閉じ込められているままで

種よりも
性器から目を逸らしたい
きれいな核が知りたい、とても。

あの夏を電磁パルスが繰り返す
※遺伝子が覚えるまで死に続けろ

サバナへと
採精室に窓ひとつ

死に票と知りつつ握る希死念慮

二度言えば二度淋しい淋しい

〈ロリコン〉は死角から来る

童貞よ
無知の無知を恥じることはない

性交痛は電流となる
この星が割礼の記録を失くしても

赤赤と性皮腫らして
猿だとか、
翼生えても人間だとか。

君がもし本気でバリ封する気なら
フォークなんかを聴くのはやめろ

弱い者達は自ら死へと向かい
ブルースは今も加速を続けている

生活は
なにか、の略語
つがうこと、なく、ドラセナと、
抱き合えたのも

救いがないのは時代ではなく
人間の金を数える手の臭さだった

人混みを海に喩えて漂えば、
俺は機雷となれる。

さわれよ

黴光る　雨の惑星リマスター

胎内のひかりの記憶を話す時
ユグドラシルは笑む母に似て

逃げようにも、
ここは性器の星だから
脱ぐしかないし
笑うしかないし

投げてくる気がして怖い包丁の
地下鉄を脱肛のごとき降雹

チューリングテスト
延長戦は夏

何人も
春一番が吹いた日に
性器の所持を自供すること

鍵付きの宝物箱を与えられ
意味をはぐくむ少女の子宮

産婦から胞衣工場へ花電車

聖胎祭　読点の無い置き手紙

流刑地に百千の「る」の閉じた口

ＡＩが
主語をぶんどる瞬間を
法律として在る擬人法

離陸って
飛行機が生まれる前は
無かった言葉？
あの心臓も？

学生に本分なんか聞いてたら
電気風呂から死人が出るぜ

節というからだの捉え方だから
眠くなったら闇だと思う

丸写ししたっていいよ。
そうやって、
殖えてきたから淋しいんでしょ？

枕元抜いた鼻毛がたまってく

Spermは
利息でふえてくれますか？
銀行は名ばかりじゃないですか？

視姦魔が許されている東京じゃ
翼を広げられないね、エロース？

数の子は
数じゃないかもしれないぜ

俺の子が俺ではないように

りぼん踏み歩く海鳴り
Bon voyage!

犬を恐れていた幼児期を
抱きしめるように恥毛を撫でて雨

子供の頃
よくポケモンを交換したので、
人から貰った子でも大切にする。

彼ら半樹上性のうたがい
登り次第ピアスガン撃つぞ二発

アウトの球だけ
のけといて
あとでまとめて
土の下にしまうつもりでいるよ

交通費多めにもらっても
ゾンビだったらバスわからないな

尻しゃにむに追いかけふと馬の群

金平糖最後まで噛み砕いたら
もう取上げ婆に怯えなくてもいい

電波うばいあいながら
　　わかちあうように季語も女も

命名権拒みつづけて花篝

エヴァンスの肉声かすれ胡蝶舞う

椿象が集まる外灯を
無視できない一方
鳥たちは
未だ
西暦を数えられずにいる

あかりとり破壊しあかりふえる

ノーム潜む偽の乳から金脈の臭い

くもを殺して
くもの巣が古くなる前に嫁ぐ

定型に崩す崩さず春の嵐

練習をする
誰かを殴る
手に聴きつつ
向こうの沙漠を
サンドバッグの

誕生日ってだけの日に下手な短歌
送りやすい連絡先数えたら十一個

梅雨冷えて
まだ従犯を言ってない

あらかじめ
血が付いているちり紙で
しりを拭こうか
くちを拭こうか

シャンプーの
テスターを嗅ぐ
（政治家は）
サボンのかおり
（どこの棚かな）

ふえ方の
無性生殖気持ち悪い
悪意の文章が読みやすい

一行の短歌の
槍のような譜が好きだ
刺しても刺されてもいい

断るのサブテーマでいく夏休み

快楽のための耳に元素あつめる

されて　あり　翅
のこ　の　むれ
が　だけ
せみ

書簡体のまま死にたい死にたくて
飛行機からこぼれ落ちようと恋情

揺れるもの好きだから揺れる自分
も好きになる出来心くずれる間の

パスポートセンター
の待合室
の行列に加わり
精巣の内部など夢想していた

幕は下りるものではなくて
下ろすもの
センキュー
アウア
サマー　ポストモダン

商談に嘘混ぜてみる鴨居の忌

これからの♂に粘着力が要る

紙切りの人やってきて鳳梨生る

俺もたぶん、排卵後には止む白雨

教わったことも
も無く焚き　無
と　む。火　け
こ　こかを　れ
ういとるえ教ば

腐らせてしまった水を
墓場まで
持っていくつもりで盗った梨

俺は雨になるよりもっと逞しく
遡航する夏の雁になりたかった

まるで俺を
ずるいと責める涙痕が
火車婆に攫われてゆく君が

俺はくたびれてしまった
革ジャンの
胸ポケットを眠る雲雀だ

【破水】

という言葉の一義性を前にして、

それでも俺は水を破壊できない。

子宝に恵まれなかった叔母の居る
祖父母の家の庭を

雪客

雉の巣の俺だけは不良のように

秋冷の夜伽に攣れる祖父の翼

海のとなりで
小さく
小さくなっていくギターを
鳥のように抱きしめた

短冊をながーーーーーーいよだれ

古代魚の鱗をジェノサイド映る

夜半遠心力ぐいとあおる罰酒

膣口縫合の慣習を持たない俺達の
ひらがなにしては尖鋭な明朝体だ

人間がボノボに向ける
おもしろの視線で
姦
という文字を見る

出帆　働かない才能も無い

次の地獄にも
アノニマス・フォン・コール

連れていくよ、またその次も

名前をよく褒められる

歯医者に行くと、
母がくれた陶歯をよく褒められる

人生の謝辞には星の／食べ物の／
罪の／病の／悪鬼の／海の／詩の
名も入れる

たまに虫、たまに天使で育つ羽

じょせいきのかたちにゆらいして
できたかんじのひとつかもしれま
せん

人の数だけ剣の術あり羅切

いつ啞となるかも知れず銃の鉄

末世にも能動性を持たぬ尻

柿を食えば
柿を食えない季節から
遠ざかってゆく
そんな秋

俺はまだ
鼠としては二流だが、
人間としては高専卒だ。

へびたうねるたわしめす。
　のうのうようなばこま
　うたならうにけれろし

声小さいから何回でもさよなら

ポルノ売り歩いて西へ西へ西へ

戦前と戦後の汀
ミリタリージャケットの
まま、
泳ぎたい気持ち

VRゴーグルの子に春の蝿

数式が定規に透けて風薫る

春の月金網に傘引っかかる

春雨の犬の睡眠時間です

目覚めてもまだ風船は天井に

マクドナルドの空の壁紙水温む

また同じアプリを開く春の草

マラソンに遅れて話す菫です

春炬燵腹にたまらぬビッグカツ

ヨッシーの卵割れない四月です

永き日の水面掠める背鰭です

透明な消毒液も遅日です

買うつもりないソファーに休み
春の昼

優しくないバイトの大人春の鴨

昼寝から私に戻るまでを雨

鳥帰る英語にすれば長くなり

ゴキブリを潰して人に会わない日

麦の秋普通に走る救急車

病室にいつも長袖五月尽

関節をきれいに鳴らす夏蜜柑

少年が煙草吸う国夏燕

たんぽぽを吹かせて貰う間柄

自販機の雨にざらつく夏の蝶

苺狩り詩集一冊分費い

空蝉に触れるものに風と指

同僚にロボットがいる南風です

秋の暮肉屋に今日も店主です

ミルクセーキ子供に風のような歌

レンタカーに四人乗り込む
水着のまま

本も食事も同じ机の花野です

烏麦猫の横切るノートです

夏野よこれは
スクロール後の世界です

飛行機に花火の音の届かずに

住んでもう大阪恋し熱帯魚

子供にも諍いのありカブトムシ

二の腕は涙知らない花カンナ

爽やかに話す歌うも同じ口

龍淵に潜む疲れて眠れない

秋の暮チーズに曇るピザカッター

爽やかに今日予約して今日の宿

祖母通うスマホ教室鳥渡る

冬近し絵を描く時のズボンです

冬近く遅れ始まるバンドです

配給の列は静かに竈馬

暮の秋友の嘔吐を離れ見て

秋の夜卵の殻の弾く水

雪催木と木で起こす火種です

雪雲を紛れ働く詩人たち

波音の見える辺りの障子です

一切れの林檎争う猿です

冬ぬくし刺繍の鳥は永遠に飛び

占いに減る魂も時雨です

燃えるものばかりの部屋を冬の蝿

引越しのこと話し合う裸です

石蕗の花吸う時灯る煙草です

爆笑に母遠く居て鏡餅

まとめ捨て
ハンドクリームの缶を冬

凧を追う首輪に慣れて来た犬が

寒牡丹母から匂う私です

雪だるまの体積を求めてください

人間のような天使が炬燵です

焼芋屋を次々抜かす陸上部

目薬は粒の集まり日短

呼び鈴について来る子も春祭

浮寝鳥戦争に布使われて

猫も人の言葉分からず実南天

春近しSNSにすぐに書く

地下室の羽化する兄へ放る葡萄

万緑に鏡風邪の私が一人増えて

恩師にこびりつく
狡猾でよく喋る
つまらない眼鏡

林檎腐りつつ
醜顔増しに増す
きつい訛

ピアノさぼった僕を
殴る母
ねぎのにおいがした