火になって皆さんに優しくしたい
2021年度奨学生
- 奨学生
- 青木 雅史
- 20歳
- 埼玉県さいたま市
中野区で網の目をすり抜けている
高橋さん、
そっちには北極しかないょ
人が好き 強い力でみかんを握る
先祖代々の墓から
はみ出てしまいそうだ
しにたいつくえのかどがするどい
正直な犬だね絶えず変化している
郵便太郎が遠くに行って死んだ
まだ大丈夫な人の自画像かな
びしょ濡れの短歌の僕が先に行く
- 奨学生
- 綾部 花奈
- 23歳
- 東京都西東京市
魚影が先か
慰霊が先か
一月は銀紙がすぐ底をつく
暗室で
鵞鳥にされたことがある
雨の日は保健だよりに二人乗り
寒村が
チョコレートからあふれ出す
着払いで枕詞を送られる
花守の
代わりに
貂のぬいぐるみ
「ばんぺいゆ」って
唱えてすぐに
夜の底
そよ風の
ために書式がそろわない
弦楽器と
見分けがつかない
小学生
- 奨学生
- 伊藤 万由子
- 21歳
- 愛知県岡崎市
私が自然体でいるために
あったことにされた二重幅
無かったことにされた産毛
湯船に張られた溜め息の模様
廊下
風がさらりと吹き抜ける午前
夏の匂いが消えていた
生きる実感を得るために
自ら波風を立てる君
柔軟剤が人気なせいで
駅のホームを
忘れたいあの人が
何人も通る
胃に溜まった生きづらさが
喉の奥から
とっぷりと
水銀みたいに上がってくる
寒さをタイツに染ませて
立ち漕ぎの坂道
父の人間ドックの結果が届いて
私は少し自立した
束の間の閃光になる為に死ぬ
なんて癪
至る処に爪痕を残す為
生きると決めた日
誰かの為に生きたくて
愛を押し売りする相手を探してる
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