冬めいて子猫のねむるサイドカー
朝寒に泣き顔の似ている姉妹
柚子の湯へ手首に鍵を鳴らしつつ
冬の象鼻打ちつける打ちつけ合う
雪で歯を磨く既読はまだつかない
雨の打つへんな和訳の看板を
構え低くラガーのしりの 震えている
ほろほろとひかります 釜揚うどん
赤蜻蛉文字の小さな同人誌
O脚のすきまを秋の風が吹く
おさがりの旅行かばんよ秋の草
てのひらにみずを掬えば水澄んで
傾きを愛と信じている秋夜
窓際のひかり束ねるかりんの実
退学よ秋刀魚の骨のやわらかく
枯芝を駆け抜けてゆく脱走馬
蟻ひとつ這いよる星座早見表
月の暈ジムノペディをかけようか
歯並びのでこぼこに沿う秋の風
床屋でかけられる 白い布たちの墓場
サンルーフから手を振って星月夜
永遠のほうの稲妻を胸にしまう
鈴虫の羽のあたりに夜がくる
火と柩とおくの町で買う水菜
南下する神輿ひるまの月きれい
秋めいてこんな 夜更けのたまご焼き
左利きのひと増えてきて秋の雨
天の川わたしの二十年あげる
雨粒を吸い、雨粒は加速する
脛毛剃ろうかかき氷食べようか
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