魔女っ子に落雁渡す 我が祖父よ
霧中を駆け抜けるための赤い靴
宵闇に金色の風 忍び込む
水槽を飛び出し死んだあの魚 あたまは海の方を向いてて
窓霜の朝日まぶたに突き刺さる
ペンギンの眠る駅まで逃避行
いっせーの 飛び降りたのはあたしだけ
月の夜きみを迎えにゆく魚
快晴に響くソーラン いわし雲
もし僕が神様ならば 創世は三日で飽きて 押し入れの中
別れて三年 細胞は全て入れ替わり 君の知る私はいない
本当はここは誰かの見る夢で 君も朝には溶けちゃうんだよ
自らの首に縄をかけるとき やっとあの人の気持ちがわかる
湯豆腐だけが 私に優しい夜
ブローチになった アゲハを飼っている
叶わない恋に絶望した星が 地に身投げしたのが金平糖
海の見える場所に 引っ越ししましたよ 君にはどこか教えませんが
生きてていいよって 言われたくなって 月に一度は献血に行く
十四夜のシラップ漬けが浮かぶ宵
走っても夕陽に先越される帰路
名作の味がするねと紙魚が言う
コンビニ前 サワガニの死骸照らされて
夕立と駆ける てるてる坊主たち
手紙書くよ ポストが寂しそうだから
放たれた車窓 パンデミックが取り戻した風
豆苗の生命力に負ける俺
此岸でさ おはぎを作って待つからさ 彼岸の花ととっかえっこしよう
空き缶を捨てるみたいに手を離す
今日の給食 カレーなのがうれしいと 走る息子を見送る二学期
人波の戻った駅で溺れ死ぬ
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