木枯に追われて記念切手買う
靴底の雪落とす思い出し方
夜ふかしの小瓶を棄てる音のあと
真っ白は雪崩に自覚する視界
白鳥の瞳古城のほのあかり
鯛焼の腹からやわくなるような
風光る集中線の飛び鉋
蕎麦の花土器の欠片を砂にして
炭の火といつかなくなる土星の環
わたしから染み出しただけ朧月
わりとすぐひんぱんにしぬ露時雨
メロディのように紅葉つきまとう
ふんわりと崩れてしまう冬の昼
丸の内署所轄雪のハイヒール
水よりも重い経血ヒヤシンス
オリオンの配置変わらぬ戒厳令
抱卵季一人称が定まらず
囀りの中に恐竜だっていた
観音の薄い胸板秋時雨
ドーナツの箱乗せる膝冬のバス
天国に近い芒の獣道
風光るネクタイ曲がる警備員
春炬燵噛むのが下手でまだ子猫
レプリカの牛内臓の色違い
傷ひとつない真海豚の大ジャンプ
冬雲雀ユンボは昼の佇まい
空室のテレビ画面のような夜
音階を幾度も数え冬銀河
重力にりんご落ち続けて赤い
公園の柿のさみしい真っ赤っか
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