篝火が蛍光灯に変わっても 闇は間取りを考えてくる
夏空に鳩散らかして草ゆけば 忘れたくなる年も名前も
下駄の緒の馴染まぬうちに 遠くから響く花火を くらやみで聞く
生ゴミと自分の違いを考えて 結構違うと思った よかった
煙草とか芝とか鮭の匂いがする 窓を一日開け続けると
君と会う日が 終わったらそこからの 自分を思い描けなくなる
教科書の表紙みたいな川岸で きみと粘土の笑顔をつくる
真犯人の前ではどんな犯人も かすむ一つ前の駅に戻ろう
金色の紙で作った指輪とか 眉間がくすぐったくなるほど好き
太陽をなんだか慕う賞状を 手加減しながらつかむ丸さで
20秒500ワットで温めた くらいの心の温度でいたい
遠い日に祖母にもらった切手たち 祖母宛にいま舌をあてがう
重なった雲が競って叫ぶこと 雨の総てで教わる崖路
いつまでも切り揃えられず前髪は 心電図結果こうなりました
こきょうって言葉が好きよ 花みたい 明日あなたは廃園へ帰る
心臓が千個増えても怖がらず 梅花藻を背に呼吸したい
ラッピングの最後に リボンを添え付けるように あなたは話を終える
海からの風はやさしい衝撃波 どこまでが傷 どこからが糧
哺乳類ここにもいます 研ぎ汁は米より出て米より白い
ちゃぶ台を ひっくり返して飛び出して 車に轢かれて、それで死にたい
こどもらが 乗り去った銀のブランコが わぁん、わぁん、と揺れて春雷
少しずつ狭まっていくこの街の 余白に小さくサインを残す
ともびかり なんて言葉はないらしい でもこんなにも ともびかりしてる
今日のことは忘れてしまえ長靴が ぽくりぽくりと諭すやさしさ
星の声いつも聞こえないビル街が 光訛りで喚き散らして
生命線なんて最初に言ったのは 誰なのだろう祈りをこめて
反り腰の日本列島ちょっとだけ 腹突き破る関東地方
同じ雨に濡れたいコバルト逃避行
ドーナツを食べたら 胸がつめたくて れっとうかん、と呟く真昼
君に会うために前世は蟹になり 食べられる側を経験しました
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