握る花粉 撒けばこの湖(うみ)虹懸る
調性のない遠花火 サン・テグジュペリ忌 (1944年7月31日没)
昼の雷手提金庫も蚊帳の内
MICO亡くて パラソル回す熱帯夜 *弘田三枝子忌 7月21日
はたた神むつかり Wi-Fi雷サージ
浜昼顔ジョバンニの父帰郷する
星祭溢し忘れの盥水
深爪する 槐(えんじゅ)の雨の星まつり
冷蔵庫製氷皿に凍る虹
冷蔵庫奥の夢から取り出すように
サティの忌まだ手探りをする天使 *Eric Satie
虫篝(かがり) クレーの忌にもてんし焼く
梅雨の闇 かすかに呻(うめ)く新生児
蝿飛んで当たる鏡の裏の奥
少年の無垢な邪悪よ蝿の王
水の香に胸のほたるが喘ぐ宵
hug(ハグ)したく 殻ぶつけ合う蝸牛
それぞれの罪それぞれの渦 かたつむり
青簾吊って自意識鎮めたく
星餐に青梅を煮る神變忌 *塚本邦雄忌=神變忌 6月9日
滝水が蹄に沁みる一角獣
滝飛沫浴びた髪見せ黙るひと
月と櫛欠ける夜もある晶子の忌 *与謝野晶子忌 =白桜忌 5月29日
夕凪に姉たちの舟とおざかる
目には青葉耳に銃声果樹農園 (長野県中野市)
五月闇ダッチワイフの肌の熱
羅にためらい傷の透けて見え
石井忌の卯の花腐しに赤い傘 *石井隆忌 5月22日
みなみかぜ胸に緑の導火線
弦切れてラインハルトの忌に雷雨 (1953年5月16日没)
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