ピンで街を 刺さないと留められない地図
口笛をあげた あの子からの手紙
内臓を想像できないまま死ぬ
横顔が飼ってる犬に似てたから
燃やすための国旗 ほとんど二色刷り
欲望のかたち 言葉ではない体
待ち受けに 光 家族の写真燃やす
もとからの孤独 言葉は誤読も愛す
コンタクトレンズの渇れる手洗場 裸眼がひとり教室にいる
冬の朝 辞書【落鳥】に赤引いた 彼は失踪者と認められ
六人家族で 時計を一つしかもってないから 壊れてしまう
一滴の雨粒に似た心臓に触れ 「ここに全てはありません」
穴だらけの 生き物に吹く 風もある
オルタナじゃノれない 柑橘剥く時の匂い
母の固い結び目をほどく 開戦前夜
断片のままつなげてく 地図にない地名
少しずつ 注げば溢れない からだ
日に二度凪ぐ海の静けさ すべて過ぎた
辞書めくる手つきだ どこかにあると信じる
近すぎて見えない 君も海に感じる
日の出では足りない 光る前に瞬く
韋駄天神 やがて君にたどりつく夜
俺たちの敵は俺たち すぐ冷める
明日の海にかけてみる
かつて穴だった 形が思い出せない
そこからが君でここから海らしい
手のひらで溶けてもいいから 雪を握る
酢飯冷やして だんだん更けていく夜
君が海岸の砂であったら 済んだ話を
そこにあると分かりすぎて 見えないふりをする
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