ほっぺたを撫でたり鼻を触ったり なんらかの意思が宿る君の手
好きという感情は水 沸騰もするし凍結もする 蒸発も
何回も言ってるけど電話は嫌い 距離を超えてまで話したくない
歩道からギリ見える部屋で 昨日まで明滅していた電気が 切れた
AIの外科医はきっと 「病巣を摘出します」 と脳にメス入れ
ベランダで膝を抱えて見る空は 私のことなど見ずに明るむ
いま気づくまでは無かった焼却炉 気づいたからか 煙が上がる
手探りで靴を履いたら はじまりの音がした ああ 月が眩しい
一年前、高級イタリアンを食べた 今日はホルモン 反比例の愛
5/8ほどのピザを君が食べ 残りの3/8を捨てた
喉の奥 込み上げてきたなんらかに お前の名前をつけたから吐く
温かいお茶を冷まして飲む君は 実った恋が朽ちるのを待つ
捨て猫の前にしゃがんで 雨傘を傾けた日から 降り続く雨
生意気な赤で佇む消火器に 消したこともないくせにと言う
月が綺麗ですねと言いたげな君の 背を押すために月を眺める
運命を信じているし占いも好き 代償は理科の赤点
旧友が私につけた安直な渾名は パスワードとして今も
ミャンマーは意外と遠い 地球儀は 思わせぶりなサイズをやめろ
感情的に喋るな 動物と一緒だぞ 論理的に喋るな 機械と一緒だぞ
「明日の夜、花火を見よう」 予定では 光 音 音 好きだ 音 うん
暴虐な時間の神を絞め殺し 寝苦しさを暑さのせいにする
7時です 今日も元気に生きましょう 「も」ってなんだよ 俺は 助けて
カラオケで既存の歌にのせた愛 「永続しない」にルーム料金
夏休み、楽しんでるか? 落ちそうな星を見た夜は ずっと味方だ
きみってまるで アメリカのグミ 色鮮やかだし 嚙み切れぬ
だるいとか行きたくないとか 言いながら家を出る僕を 睨む向日葵
浴室にボディソープが香ったら 不幸な私が死んで幸せ
上空を常に旋回する鬱が 急降下して世界が終わる
心臓はオブラートに覆われている 針とかナイフは全然刺さる
路地裏に隠れてる室外機ですら 撮られて嗜まれる世の中を
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