パン屋と本屋が潰れたことだけ 伝えに来る春の風
英単語の中に ひらがなで混じろうとしてた 教室っていとをかし
guitarを ぐいたーと覚えてたなっちゃん
おいしいね 食べてごらん、寂しいから
ぽの字もない蒲公英 ほの字もない鬼灯
げっ歯類 みたいな歯を立てて 私を食べる2月の風
電池の減りが早い日のゲルニカ
春風よ 出なかったくしゃみどこ行った
ネックレスつけるように夜風
校長の有難いお話を聞くとき 子どもらは枯山水作りに励む
くるぶしと鎖骨を軽視した十代
走っても 揺れなくなったものばかり 鉄棒に掛けたあの日の黄帽
新聞配達のバイクの音で 夜は朝への助走を始める
傘の先っぽ ピンヒールみたいに細くなり 私、おとなになってしまった
義理堅い母は玄関に チョコ‼︎ と書いた付箋を貼って寝る
椿としてのガーナミルクチョコ
最寄り駅を通過するときの 巣立ちと依存に似た、何か
雲は水蒸気だから寝転べないよ と言うだけの簡単なお仕事です
ティッシュ配りのような春風
バレエで言うところの 5番の足で 脱がれている靴 踊りたいつま先
優しくしたくて作ったカレーに 溶け残る不満、刻むのわすれた
水菜歯に挟み語る幸せ
睡魔を罠にかけて眠る
パンタグラフに引っかかる空
花に合わせ鏡をして 本当の顔を見つける
風呂で思いつく言葉のあれこれ まだぴとぴと、と雫が垂れてる
氷菓の表示ついた霰降る
錠剤の苦味を感じるまでの雨
右から履く靴下を 左から履いて いつもと同じ一日を 阻止する
花を散らして 風は色になる
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