遺言を揺らせば春になる
文体に謝られて目をそらす
骨を脱ぐ 試着室はいつも寒い
友達の友達 骨は嘘つかない
鏡になったあなたを投げつけられ
最後まで水が入っている体
やや焦げたパンにも謝る人だった
歓声に悲鳴が混じっている街
海 そこが果てなら溶いて出す卵
対称に描かれて林檎の憂鬱
良いことと信じて文字を書かせる
柑橘の名を与えた犬が死んだ夏
折る君の指には指紋がない
なにもしない場所で鳴り続ける
花を降らせて君に道を見せない
ストリートビューでは 満開だった樹木
長持ちな命の端で君に会う 君に会うための命だ
体重計に一緒に載って出すエラー
ここだけが常に明るい場所だった
文末に近づくに連れ君がいる
徐々に冷えていって あなたに許される
補講から逃れて帰る まだ明るい
花を摘む度に花瓶になる掌
手酌するあなたの底に手を添える
少しずつ消え去っていく過程なら どうしてそれを生と呼ぶの
ぐるぐるに巻かれて水の通り道
家系図に太字で載っている君だ
少しずつ名前が嫌になってく春
花束は予約必須の春うらら
メリーゴーランドの馬は ぶつからない
詩
俳句
川柳
短歌
アフォリズム
全種類