壊れそうな崩れそうな こぼれ落ちそうな犬 掬うように抱く
私の犬、もう、 紙風船ほどに軽くなって
犬が眼だけで別れを告げてくる
私というものを 誰よりもよろこんだ犬が じきに死ぬ
クリスマスの空、 なに色でもない
ジャンルを壊し レッテルを剥がし 名前を捨て、私になる
十四歳の君が 夢を持たない空の肉体を 謳歌している贅沢さときたら
大きな眼から 透明な音符が ぼろんぼろん
指先凍るほどの孤独 繋がれば繋がるほど
ティーカップの底に 冬の蝶がへばりついている
ばあちゃんの居ない庭に 実石榴ひとつ裂けたの 覗いたら冥界だった
誰もが永遠に耐えかねて 絵の前を過ぎてゆく
収骨の女よ、 ばあちゃんの骨を そんな風に砕くな
龍田姫のけたけた笑う山で ばあちゃんを焼いた
この異常な世から ばあちゃんが去り 今日は月も少し変
透明な水鳥が おばあちゃんを 連れていってしまった
水鳥の夜におばあは透きとおる
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