初雪を告げる留守番電話消す
逃亡 繁華街は水溶性の光
枯野ゆく槍持つように傘持って
雪催頭痛はいつも血の匂い
灯油罐置く 手袋噛んで外す
まず影を失い雪片は水に
雪の声フォークにタルト鈍く割れ
(ささめ雪ことば虚しく並む) 敬具
園児一列 枯芝の 丘に たゆむ
慢心ゆえ兄破産する絵双六
方舟の ハッチへつづく階段を のぼる いつしか 駅の階段
大寒の海までジャズを聴きにゆく
母をかつて 排した国の人々に なりゆく我を 母は育てる
我が母の祖国を シナと呼ぶ友よ 僕は冬虹 探すふりする
貴方はどこへ? 私は砂になる途中
まんじゅしゃげ 睡眠薬の しろ 眩しく
寒の海めりめりめりと魚雷
玉ねぎ切る我の体で泣く亡友
父老いる夏掛け縒れてゆくように
ゴミ箱のないビルだった冬だった
セーターに いつしかついている ふせん
沸騰の火を止め寒の雨となる
僕だけに来る夜がある十二月
古書店に秋光いちまいずつめくる
保育園の頃描いた海に そっくりな ビル街で 溺れる
湯の鍋の底に パスタをにゅんと折る
陰口を言って鬼灯つま弾く
冬は青 合わせ鏡の どこかに 私
粛粛と星増えてゆく寒の海
アネモネも 嘘も 誠も さようなら
詩
俳句
川柳
短歌
アフォリズム
全種類