ピーラーで大根をひらひらにして 天使の羽を作るお仕事
昨晩の天気予報の答え合わせ している一人部屋の病室
日曜の夜は帰りたくて 堪らなくなる (いったいどこに帰るの)
午後五時のチャイムが鳴って ヒーローも悪役もいなくなった 公園
枯木星ここにいるよと手を振って
鉛筆を小刀で尖らせる時の緊張は 恋と少し似ている
歯ブラシの三本セットを 買ったのでもう少しだけ 生きていきます
星屑を今日だけまぶたの上に飼う
ばあちゃんの足の小指が薬指 よりも長いと知った病室
おかえりの代わりと言っては なんだけど茶碗山盛りにするご飯
舐めかけの飴玉みたいな太陽が ゆるゆる海に溶かされていく
弟が弟として生きていく為に 私はこの先も姉
山下と話す田辺の声につく♯が 僕の失恋だった
誰だっていいから傷つけたく なってビスコを半分に割ってみる
寒いほど星は地面に近づいて 今と昔が曖昧になる
日曜の朝だけ餌を肋骨の中で 飼ってる金魚にあげる
鼻をかんだティッシュをゴミ箱に 放るみたいに線路へと飛んだ人
泣く為に犬が死なない映画見る ポップコーンとジュースを持って
加湿機は狼煙をあげ続ける 部屋の隅で私に無視されながら
さっきまであんなにきれい だったのに枯れた花火を バケツに生ける
穏やかに微笑んでいる間にも 心はささがきにされている
プルタブを開ければ 「脱出成功!」と炭酸たちが 歓声あげる
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