何者にもなれずに渋谷を離れる日 路上で喇叭がとってちってた
消しゴムを落として一言 「拾って」 と言ったあいつの耳は梅色
うどん啜る一人暮らしの真夜中は 裏面の説明書きを読んでる
平成の大合併で消え去った 住所を唱える呆けた我が祖父
そよ風を全身に受け走り出す 生まれたばかりのとねっこの朝
淋しさに突然震え出す君と それを横目にパフェ食う家族
三畳の部屋から風呂屋へ歩く時 減ってしまった月夜を思う
青い目の底で金魚が泳いでる たまご色した光を浴びて
走り出す三寒四温についてゆき 桜並木を通り抜けてく
スカートを翻しても春がある カーテンコールに僕の踊り子
半熟のゆで卵付きモーニング 殻を破れば朝は明るい
砲弾で割れたガラス戸 紅い花 花の布地で 覆うの全部
焼け焦げた ビスクドールの青い目が とろけるように涙を流す
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