風に影与えて回る風車
子は走る街は転がる風車
閉経を伏姫櫻の下で知る
さくらさくら 阿吽の花弁を浴びる獅子
さくらさくら 黄泉比良坂駆け抜ける
さくらさくら 治療の果ての看取りならば
春の風より生臭き我が吐息
摘みたいと 願うもの避(よ)け 蓬摘む
これもまた生の遅延か野蒜摘む
絵踏板咥え山犬走り去る
絵を踏んで鶏鳴三度聞く夜明け
背かれて絵踏を春の季語と知る
ザンビア国駐日大使 鶴引く頃に任解かる
鶴帰る コインパークに「空」の文字
恋猫にセメダインの匂いして
眼薬に滲む遠火事猫交る
水ぬるむ橋の向こうに妻の影
水温む学生寮の洗濯場
轆轤挽き海を象る遅き日よ
遅き日に カッパ捕獲許可証を準備する
置手紙綴るつもりの日の永さ
日は永く シャボンの玉のうらがえり
春めいてタイヤキくんの大脱走
銅像の波平の髪に春の雨
春の雨 シュペルヴィエルを 翻訳(やく)す夜
春雨に濡れたズボンで 他人(ひと)の部屋
Spring has come, 今は教えぬ筆記体
火宅の人ノヴァーリス忌の菫摘む
気付いたらいつも手遅れ春北斗
春の星暗くとも燐寸擦る機会なし
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