僕の名を テプラも覚え始めてて 春は眩しい密室である
ジェットコースター点検階段の 最上段で 天使が泣いた
不細工な白鳥の子は 人が乗り 自分がスワンボートと気づく
空室の観覧車では 陽だまりと春の気流が 内緒のはなし
僕は人より小舟寄りな気がしてて 帆を揚げるようセーターを干す
祖母の名は陽子といった 僕もまた きっと誰かの素粒子である
濡れたアスファルトに 朝陽は散らばって 魔法瓶の底にいるようだ
肉体と現世を繋ぐ枷として 正確に張り詰める鎖骨は
ローマまで歩きたいなら 106日かかる グーグルマップによると
いわし雲の等間隔を埋めよ 男子生徒のバリトンサックス
自由には二種類あって ゼリーみたいのと どんぐりみたいの
小麦粉がぶちまけられて 夕立はコンクリートに とろみをつける
寂しさに意味はないんだ 意味はない 言葉にすれば意味はなくなる
終バスの窓に頭蓋を預ければ べこっ、て、私もバスの一部に
(バカマヌケ) 手話の喧嘩で (アホノロマ) 忍法をかけ合う河川敷
春陽の巨大迷路に野垂れ死ぬ 「ざんねんでした」 の壁にしゃがんで
満月が 首都高速の金網に スライスされて零れる四月
階段を一段飛ばせば 踊り場のプリズムきらり 夏は近いぜ
169センチ62キログラム 実物大の孤独
「ペンギン」は いつの季語か答えなさい
迫り来る桜前線 ちょうどいいね、 今日の生姜焼きの味付け
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