無精卵みたいな言葉を吐きながら カウンセラーは窓ばかり見た
風光る シャッタースピード上げてゆけ
日が昇る 覚悟ならもうできている 米を研ぐ手は獣のかまえ
生ハムをふわりと巻いて 本当は花だけ産みたかった、 と姉は
別撮りの卒業写真の背景に 爆弾みたく落とす青空
あの子まだ十六だった 斎場の鮪は冗談みたいに赤い
半熟のすももを撫でる 親指の腹で円周率がはじけた
雀荘は海へと還る あのひとが 骨張った手で洗牌すれば
学級文庫の選書が やさしいひとだった 元担任の逮捕聞く朝
初恋は淡水に棲む かにぱんをゆっくり 解体していく夜更け
話したいことたくさんあるの かっこいい名前の骨を 折ったこととか
脊椎の窪みの鋭さをなぞる きみは死んだら良い薔薇になる
春の夜の前置修飾ふくらんで ただ好きだって言えばよかった
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