大泣きのための寄り道しゃぼん玉
図書室は臓器の一つ 春時雨
教会の像に首なく百合の花
跳ね橋に春の光は「る」のかたち
春の雪 わたしに本は処方箋
進級で世界史Aを取りました 私の世界はBとしました
内見の人と初音の話など
梅雨は闇 昨夜未明のことでした
新しい町に子猫の陽の在り処
春祈るように子犬を買いました
賞杯にかつてのリボン冬の朝
風冴えて 白い火傷が過去になる
肋骨の隙からひたひたと夜顔
歯磨きが下手な人生 小鳥来る
小夜時雨 祈りのための絵画たち
この家は猫背で居るところ小百合
骨壷を抱く夜の底 鐘凍る
監視所にストーブ一つあり独り
春の宵 舌裂くほどに飴の鋭
食卓のひとりに慣れた頃が秋
ぷちぷちと細胞生まれていて朝寝
草枯れて西の倉庫の鍵もらう
身を投げるための改札 冬の蝶
風邪の日は知らないNHKばかり
鍵っ子のための階段 檸檬の木
はちみつの専門店へ花野道
錠剤の血へ溶ける音 蜃気楼
春うららみんな季節のパンケーキ
カンテラの灯の先導のある霜夜
空想の友を夜明けと名付けたの
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