植物の思春期 のような 植物のような 思春期 のような
夜のジャングルジムに 雪が積もる
にわか雨の校庭を 駆け抜ける 鉄棒の匂いのついた 手で
壊れた地球儀を直す土曜日
一万本の煙突が 冬を待っている 霧の中で、コーラを飲む
あまりにも見上げられて いるから、 夜空がたわめばいい
夕焼けを卵でとじる 労働のうた
工事現場に秋の夜が滑り落ちた 自販機は ガゴンとふるえた
傘を畳みながら 夕餉の献立を考える 薄暗い 玄関の匂い
さようなら 夏の引っ越し ちいさな手の お引越し
浴衣の女がつんのめる ひと粒 目薬が落ちる
午前0時 どうしても真ん中が 見つけられない
白線を選んで歩く 夏至の少年
改札に挟まっているうちに 夏だ
十万年のまばたきを その蝶々がぼくを避けていく その 間に
子どもが泣く ペンキ塗りたての声で
救いようのない 池の鯉 その口の動きよ
ブレザーの金ボタン という飾り 商店街のような
コンパスで 最大限の 丸を描く 仲間外れに された放課後
忘れた夢の思い出し方 プルーサイドで耳の水を抜く事
ペキンと砕ける 日に焼けた洗濯ばさみ 全ての軽さの悲しみ
春の畳でのびのびと孤独
にわか雨、象の尻が濃ゆくなる
信号待ちの鳩 乾いた吐瀉物をつつく 頭を垂れながら
靴底にガムつけたまま卒業
味のないチューインガム 噛んでいる もうすぐ東京
詩
俳句
川柳
短歌
アフォリズム
全種類