罫線は確かにいとしい波でした。
大人への階段 登り切るなんて 一生ないでしょおおきなこども
鏡にはお顔がないからぼくたちを 見つけたときだけ にっこり微笑えむ
からからの喉を 浸していくような 冷たい月をみつめて泳ぐ
星砂糖 砕いても砕いても 光
すいすいと ぼくの真横をすり抜ける 虹色の尾をじっとみている
ねえ神様どうしてこんなに泥状の お祈りだけがのこるのでしょうか
だいすきよきみが ひとであるかぎり
ぺしゃんこに潰してしまった きみがまだ今でもポケットの 奥にあること
光ってよ 豆電球が見える距離で ひとりごとだけ揺れてる 「みっけ」
会いたいと 打ち込むたびに飛んでいく 真白い鳩のちいさくなく声
満月が 首都高速の金網に スライスされて零れる四月
シーソーでぼくら 正しさを確認しようよ
階段を一段飛ばせば 踊り場のプリズムきらり 夏は近いぜ
やさしさを 取りこぼさぬよう スコップで砂場に水を運び続ける
不器用な風のふりしていまいくね
落ちかけのぼたんみたいな信号機
たったひとり 投げ出され空中分解する 死にたくなるってそういうことか
レールにて ちょこんと正座するぼくの スーツケースは一際かわいい
忘れ形見 のふりをしている プラの櫛
四畳半 白百合を敷き詰めてみる
見せかけの春は砕けて琥珀糖
つみほろ星 いちばんあの世に近い熱
汽水域 あなたにひととき、会える場所
永遠の代わりに ほつれゆくマフラー
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