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犬に名など必要ないと
思っていたが
呼んでもやれない
家出しちまった私の犬よ

そして、一篇の詩を生むために
私は、わたしを処刑する

一篇の詩を生むために
アレクサンドリアの書架より
薔薇の名をひとつ掠奪する

陽気な少年のままで
立ち去りたかったが
この世界の美しさと悲しさとが

充実した生活
自信に満ちあふれた生活
静かに自己疎外の申立をする
右の脳

見渡す限りに雲はなく
君の動悸だけが残っていた
十七歳の夏という絶対の真空

神への分け前が残されている内に
許されている間に為すべきを為せ