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浴槽のなかで栓を抜いたから
浴槽のなかで座礁を始めるわたし

バスの窓は
きゅるきゅると鳴く
仔イルカの記憶を
手放せないでいるの

やさしくなるために
あなたをたべている

水鏡そこに薫りは満ちている

月球の光の子どもを受け入れる
君のやさしい鼻母音のなか

箱の中に入る
からだを折りたたむ
最後にそっとくちびるをかむ

粛々と林檎を食べる園児たち

茂みからぽっと飛び出す星の子が
ヘッドライトに照らされて死ぬ

ペットロスで全部説明できている

おねだりをさせてくれない夏の川

シリカゲル
朝凪のなか揺らめいて
夏に仕えることになってる

浜辺にはあたしの輪郭だけあって
ゆっくり離れていく影の行進

振りかぶる瞬間
君は海になり
バレーボールの月を捉える

天気雨の一粒呑めば
さやさやと
光の風鈴めくのどちんこ

折り畳み傘も
寂しくなるらしく
わたしの髪の毛ばかり食べる

朝、君は砕けば硝子になるのか

子音ばっかり
産めないひとの背を抱けば
「はと」も解けて
「あお」と棲むまち

深呼吸するための廃墟をさがす

さみしいとき
硝子の花瓶に這った舌

ぽーんぷゆ
めってめけいてめけもれば
うたは
あなたによまれているよ

夏風邪の宙には
ナポレオンフィッシュ

「やさしいひともっと
　やさしくありなさい」
耳もとでずっと囁く天使

A Lot of 
contact
lense
in the Ziplock

図書館の影を踏んでるピアニスト

真新しい糊のにおいがするつむじ

たいせつなもの
こそ窓辺に置いといて
日焼けの跡まで愛するんだよ

目が見えなくても
光を撫でられる
体がなくても
風を想える

チューニング
上手にできて踏切を
飛び越えていく　アラームが鳴る

あきらめた陽射しの中で転がった
鈴はどこかで風になります。