光には光の言葉 木洩れ日が聞きとれなくて 人は幸せ
月の橋わたれば影がすべりゆく 運転席のしずかな肩を
完璧な円を誰もが持っていた 閉じられてゆく瞼の中に
私ごとこの心臓を抱きしめて 朝が来るって教えてくれた
二人ごと燃やしてほしい 手すりから身を乗り出せば 夕日が近い
帰るべき海がきみにも私にも あってつかのま手を繋ぐだけ
こわいのは何がどれほど失われ どこへ行ったかわからないこと
雨のパリ、 あなたがいるかもしれないし もうどこにもいないかもしれない
いえ、脈が ずれてゆくのがいやだから 私は私と手を繋ぎます
抱きしめるでもなく 隣にいてくれる 私が私をゆるせないとき
空港まで 歩いた日のこと覚えてる? 風を掴めば金色だった
白砂糖に舌は痺れてそののちを 淡くさびしくなる羊雲
川は急に深くなるから気をつけて と振り向きながらおぼれていった
もう夢の中でも こっちを向かないで あなたは背中だけで笑った
こんばんは、テディベアです しばらくは泣けないきみの 夜を預かる
窓は額縁 しずかな胸に飾るから 夜のほとりを歩いてみせて
いつか死ぬ僕らのために この星のどこかで 鳴り続けているアラーム
どこへでもついていくって 決めたから 汚れてもいい靴で来ました
ダイヤモンドの偽物 首にぶら下げて怒っていた女の子 わたしも
餓死 射殺 空襲 薬殺 からっぽの上野動物園に雨が降る
手を伸ばし ガラスに当たるところまで進む 見えない檻にふれたい
まだ誰も彼もが 生きているような気のする 午後の葉桜の前
戦前と いつか呼ばれるかもしれぬ日々に アイスクリーム買い足す
ひどい雨で あなたの声が聞こえない 街には紫陽花ばかりあふれて
円の上を歩いてゆけば 折り返し地点がない というおそろしさ
もうすぐに 二度と会えなくなる人と こんなに笑ってオセロをしてる
やわらかい果実を 握りつぶすような 愛し方しかわからなかった
よく見るとグロいガーベラ お金さえあれば 一人で暮らしてゆける
両腕が交差するとき 鍵盤の上にわずかに月は傾く
踊ろうよ 狂ったふりをすることで 狂わないってときもあるから
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