眠らずにわたしの寝顔を見届けた あなたの朝にオムレツを焼く
そしてまた次の夏への帰りみち 巨きな懐かしさのほうへ
皆々が夢の舟を漕いでるような 最終電車にも脱毛広告
手術後の仮眠をとる医者たちを 防空壕へと急かすサイレン
こどもらは海岸通りに凧をあげ 空の高さの静まりを識る
携帯のビデオ通話で四十分 虹が薄れていくのをみせた
大学にお弁当は要らないよ 臍の緒切ろうね 今度は 二人で
冬の火よ 白い脚からさかさまに 引き摺られていくミチコの軀
ぼくの非を 雪の浜辺に横たわる幼い鯨に 喩えてくれた
色褪せた路線図に探す現在地 従姉妹はこどもを産んだという
あなたたち ではない わたし 渋谷の雑踏にのみ降りしきる恩寵
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