熱燗を舌ったらずになるくらい
目覚ましのスヌーズ遠い寒の入
ふかふかの雪をもちもち走る犬
春うらら細胞二つ混じりあう
戦争の噂で液晶明るくて
未来とは黄色い白菜の真芯
一斉に聖歌の喉を開け放つ
せせらぎの濃くなる方へ鬼やんま
月光に原稿用紙ざらついて
終点にまた手袋の落とし物
初冬のガソリンぷむと香る道
ガジュマルは歩いてこない 歩いては
剥製は落葉たくさん踏んできた
風薫る道路標示の強い青
川遊びふと鱗めく足の爪
旅本に付箋を生やす春の雨
全員が裸眼で眠る冬銀河
びいどろを吹いて吸う咲く草の花
メリーゴーラウンドの錆晩夏光
綿毛ならつまんで飛ばすお節介
長い夜 自動音声最後まで
秋晴れは素数階段かもしれぬ
コスモスをくすぐりながら下校班
風に色なんてないなんて泣くなよ
ありがとう ミイラにしたいくらい好き
川遊び喧騒ののちずるりと尾
匂い立つような雷鳴銅版画
食卓の消えない輪染み送り盆
蚕ふしふしふしと不死噛み砕く
チュロス買う駅西口の夕立晴
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