ぬいぐるみの内臓あったよ宵の春
隠れてよ、 パパ似のうさぎに見つかっちゃう
上履きを洗う ママがずっとみてる
もう帰ろう、 もうかえろうよと言う花野
ヒラメの目ひとつ多いわ 買ってくわ
きょうりゅう、の、 言い方まるいね、 春うらら
風光る あなたの歳を追い越して
胞子舞う穴の底にはママがいる
金魚鉢の明るい水に手をひたす
永遠にらせん階段 息冴えて
振り上げた手を下ろせずに寒椿
ソプラノを失ってまた夏が来る
うなじひかる 銀木犀に雨しずか
にほんごであそぼで育ち日記買う
芒野にセーラー服の浮いている
アラームをかけない眠り死後の春
クラス皆こちら指差し皐月闇
「月面着陸!」 書斎にカンカン帽飾る
砂時計の落ちきるひかり 風薫る
独り言増えて金魚が一つ浮く
どこへでも自転車だった 初夏だった
禁足地 蛇の白目の澄んでおり
鉄条網 いつか小瑠璃の来る朝よ
桃を吸う舌に育ちの悪さあり
口内のピアスを舐めている春夜
桜桃忌 ボディピアスの自傷めく
酔う肌に氷を滑らせる遊び
ふらここに重心ふたりぶんの春
マネキンの地下に乱立する寒夜
動物園の最後はヒト科 秋の暮
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