ざわめきに耳を塞いで芹の香
春霞ヒーロー不在の箱庭
木の芽時 コロッケ二つ抱えて
ちがう。春菊が言わせたの
乳酸菌四百億個飲めば春
何もなかったと、母。ゆきどけ
病室に春めいていちまいの絵
フキノトウ舌にじゅわりさびしい
日脚伸ぶ許されていま おやすみ
白い手に冬菊の映えては嫌。
月凍つる精神病棟の窓にて
髪のない少女のために雪兔
見舞い後のバスに揺られて寒の雨
手放せば楽だと知った 冬の暮
四温 車椅子押せる幸せ。
ため息がまとわりついて鎌鼬
人知れず閉鎖の中の冬椿
優しいね、きっといろいろ諦めた
待ち時間頁進まず冬の霧
生きるため遺書を書いた冬の夜
屍に リボン結んで 冬の夜
饅頭食べてるうちは大丈夫
黒く塗り潰した写真の中に はっきりとみえる顔がある
許せないうちはまだ希望がある
ゆっくりと はらはら と 踏み鳴らす 今
コブダイのような私の性
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