白地図で国を覚えて境界の 脆さは知らずにいた地理の時間
綿あめを作るみたいに神様は 春の空気をやわらかく編む
春光にトライアングル響かせる
冬木立わたしの影を預かって
鍾乳洞に踏み入るように君を知る
せわしない気持ち ことこと煮込んでは 手放すまでのミネストローネ
この惑星は静かにまわる万華鏡 きみの欠片とまた巡り合う
夜を研ぐ螺鈿細工に変わるまで
火葬される身体抱えて焼き林檎
蜂蜜を多めに入れた朝の空
きっと冬生まれの親指姫もいて 寒椿ふわりと花開く
美しい残骸として直角を いまだ抱えている包装紙
パフェグラスの底に残った 銀色のスプーンはそっと光を掬う
ワカサギを釣る人々は立ち去って 銃痕のような穴を抱く湖
まだ暗い世界を朝と呼ぶときの 声は少しだけ流れ星
ほどかれて リボンは役目を終えながら 誰より早く笑顔をつかむ
本当は虹になりたかった バウムクーヘンをふたりで分ける
生きていてほしいと思う夜の猫
触れ合ったことの代償 試し書きされるほど減るインク
万華鏡に世界を預けて ひとりになる予行練習をしてみる
金平糖落ちたところは違う星
押し込めた 感情たちを蘇生する ため真夜中に開くサーカス
きみもわたしも 白夜を歩く 点滅の止まない信号機を 抱きしめて
詩
俳句
川柳
短歌
アフォリズム
全種類