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至らぬ点
集めて繋いで空に撒く
遠くで聞こえる
あれがベガだよ

僕だって明日の朝を楽しみに
眠りについた夜もあったさ

星々をプラネタリウムで匿って
夕闇に放すみたいなお仕事

どこにでも
見えない輪っかが落ちていて
外れた私はきっと宇宙人

初恋の予熱で焼いた
マシュマロを食べてやり過ごす
失恋の傷

夕暮れがつくる鋭い切り口に
晩飯の湯気でやすりをかける

話せない 読めない
書けない分からない
それでも友になりに行きたい

笑ってる顔が見たいと戯けてさ
甘やかで愛しい静かな祈り

君の今日 
優しくされなかった日にした
僕はまだ罰されずにいる

身体中消えぬ真っ赤な湿疹も
まるごと君だ、なんて残酷

薄かった
マークシートの黒のような
リネンブレンドの
就活 ジャケット  

そういえば 
あの子の髪で揺れていた 
飾りのような夕暮れの月

噛み締めた奥歯ズクリと痛むから
誰にも言えない秘密に謝る

「きみだけは」
５文字で使いやすいからさ
そんな君なんて
いるはずないのに

なけなしの元気で 
元気にやってます
無くなり次第 おやすみとします

陽の下で世界人にもなれぬまま
空や海の青にも染まれず

咲いたなら　
枯れ散るまでが　花だから
疲れてしまっても　返り咲けるわ

助けて、の作法を
知らずに生きるから
らしくない、なんて
誤魔化したりする

浴槽で 重ねるふやけた左手で
老いたあなたに 
会いたいと願う 

文末に 添えた 
「あはは」が乾いてて
傷の深さを測りかねてる

カステラの 紙に残った 
ザラメみたい
名残惜しいけど 手を伸ばせぬ夢

他人には 名前でなくて
「にんげん」と呼ばれていたい
でも君は別。

つい先日　話しかけてた　
豆苗が返事をしたので　
玉子でとじるなど

ふと見れば
月のうさぎを嘘にした
大人たちが託す短冊

見通しは 立たないけれど
明日は土曜
これを繰り返し百年死ねない。

ブレーキとアクセル
同時にベタ踏みし
生死の境でガタガタしている

空に放つ 言葉は
どこに消えるのか
君を泣かした 凶器は
透けたまま 

開かねば そのままだからと 
溜め込んだ
シュレーディンガーの
未読二千件

愛してた
唯一の貴方が消えたから
僕の心に天国ができた

親孝行 しそこなった 
父の日は 霊柩車見て 
親指を隠す