過去の作品検索

なにものにもなれぬ
じゃなくて、
なにものでもない夜半に
腹の虫成る。

おはようさん
いってらっしゃい
いってきます
おかえりなさい
おやすみなさい

納め得ぬ
この哀しみは天の果て
もつれるやうに
誰そ哭いている

珈琲が
一滴落ちて波紋あり
身命 散して
生まれる詩あるか

哀はおり
ひらりはらりと 纏わって
着るも着られぬ なでて良しやと

ブランコこいで瞑る夢
泣いてゐる中学のぼくの横で
哭いてやる

父と子は
宿題ほって ひるねして
本日いんせき おちてきます。

澄んだ眼の
君は選ばれて死に
僕は取り残されては
生きています。

頭の隅
ぽかりと穴が
あいていて
死が欲しい
と言うので詩で埋める

たましいに刻まれた
この哀しみを
もて余す夜に
つたないワルツ

御鍼師が
打ち抜いた哀しみ連れて 
ダシダと北風 全部買います

雨雲と青空に透かしてみえる
車窓の皮脂は彼より高い

彼女のラフマニノフは
con fuoco
薬指引きちぎる様に家に居た

発表会

「おまいかを作っていたの。」

四畳半に
グールドのパルティータが
満ちている

※写真はイメージです。


イマージュはぼくらの命です。

昼悪夢みるだけのふとん

と・と・と
と・と・と
と・と・と・と・と

いずれはとまるそれまでは

髭剃れた朝は嬉しく思います
の文字をなでる
並木でないメタセコイアの
優しさ

あの人は
五階から飛べる
と微笑んで欅の葉擦れ
僕はまだ飛ばない五月は
若緑

僕らは返信が遅い
わざとじゃない
どうして？
それはいろいろ
寝込んだりとかね

宇宙にて
眠薬さぐれば小さな手
地球の裏側
きみのお腹にタオルケットを

凶もまた眠れない？
呑め
暗隅の過去が消えるまで

ついでにワイパックスもな

「しんぞうは
どうやって どくんどくん
しているの。」
ふとん
ぬくもりてゆく