コンビニの前で羽化して コンビニの前で死んでる東京の夏
花を噛む 君が汚した染みを見る だんだん黒くなっていく夏
腹上に放った鼻濁音はいつか 殺してしまった夏に似ている
でもそれをずっと見ている 抜け殻に 戻りたい蝉だっているだろう
さよならの右手を 下ろせないままの 路地に眼鏡に積もる霧雨
永遠に眠るあなたを包み込む 巨大な百合の巨大な匂い
避雷針のあなたの傍で焦げながら 離れられずに光り続ける
嘘をつくのが仕事です またすぐに濁る眼鏡を丁寧に拭く
人肌を知ってしまってもう二度と 君の名前は思い出せない
連綿と水紋 私の内側を 濡らし続ける 止まない雨の
景品としての立場で 景品としての会話を模索している
一度だけ君が使った 歯ブラシの水色 洗面台に海鳴り
悲しみもあるにはあって お供えの紅茶に いつもの量のお砂糖
訃報を待っていて開花
できるだけ 高く飛ぶから できるだけ 遠いところで 見ていてほしい
靴紐を結び直している人の 膝の丸みに降りそそぐ春
春のポケットに去年の恋
恋かしら食欲かしら海かしら
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