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ねむりとは沈下
　深度をたしかめて
あなたと同じ　みなぞこ　へ往く

ぺんぎんの
ひなを
ふたりで見つめれば
むごんに春のひだまり満ちる

いぬの鼻の
いつもひかりを吸うかたち

あきかぜの波に
寝ぐせをそよがせて
こぐまのようにきょうだい走る

いもうとの胸に
月光しずみゆき
葉牡丹のようにじゅうだい終わる

くちびるを
押し当てながら見る月の
ぼやけて、思慕はほどけゆく太刀

水ふうせん
ぱ、しゅんと砕き
えいえんの汀の海を覗かせてやる

きつね火に似た
かんじょうを濡らしつつ
きみをひつぎとして抱きしめる

ねこの耳
に
在る秋風をくすぐって
まださよならがすきだと思う

感電のように
ひらめく
夏に居て
孤独はだれのみかたでもない

十九のいま揺らぎつつ
はつこいの終わり
へ
まっさかさまの晴天

じてんしゃで
風
をおいこす
夏の日のきみが
せかいのはじまりだった

一人称変えて葉月の風に立つ

飛んでいる
鳥の翼の逆光は
見上げるひとのためだけにある

海をみにいこう、と
きみが言ったから
ねもふぃらの咲く丘でまってる

せみとりに
向かう
背すじのりんとして
五さいになったおとうとは風

かなしみの破戒
こべやのへりに来て
ただ あめやみを待っているだけ

うまれたての雲を
両手におどらせる
ようにあなたはピアノにふれる

さようなら、
夏のこよみが枯れるほど
遠いひかりの果てで会いましょう

神託を受けた
しょうじょの顔をして
ほっとけーきのようにめざめる

きみが吐く
息のすべてを詩に変えて
しろいひばなのような夜明けだ

はなうたを紡ぐ
ことり
を
閉じ込めて
銀河 に 溺死 してしまおうか

ふきげんなわたしに
蝶としてふれる
きみは ほころぶことのない風

くるしみに
食べられそうな夜
に聴く
こぶねのようなあなたの寝息

うみかぜのはどう
を
頬に受けながら
火としてしんでしまいたい だけ

まみどりのひかりに溺れながら往
く理学部棟の床やわらかい

くるぶしの
淡いひかりを抱き寄せて
聖書のように  ねむるいもうと

ずんむりと
濡れたからだを引き上げて
くるぶしに棲むにんぎょのなごり

雨あがりの坂を
もむもむ駆け上がる
いなほのようなこーぎーの足

さみだれの底を
素足でかえりくる
祖母の鬼火のようなあしどり