楽園はここだよ腕の内側に あごをあずけてねむるにわとり
炎天の消毒槽の抜け殻に 溜まる昆虫だったものたち
デコルテにひかりをあてて皿洗う
保冷剤敷いて氷河の溶ける音
このような カーブを人は曲がれずに 田んぼに刺さっていくんだね、夜
にんげんのふりをしている フリをする ほんとのことは誰も知らない
ひだまりをあつめて柔し鶏の腹
八日目の蝉の速度で追いかける
ストローをさします 夢のさかいめに さあさあはやく吸った吸ったァ
腹痛を数える単位はぎゅるりです 今日は2ぎゅるり数えています
つきぬけて 可笑しくなれればよかったね 普通の糸が足を引っぱる
透明になりたいわたしは だれにでも できる仕事を探しています
ひらりほた花が降ります ひらりほた老いた鶏歩く庭先
父さんは職人さんだ腕のいい 大っ嫌いだだいっきらいだ
かえりたい きもちをおもいだすために わたし知らない街にきている
ひとの群れに 馴染めぬわたしはにわとりに 群れのやりかた教わりました
にわとりが寝床に入るときに描く 放物線の式を求めよ
もこもこの曖昧模糊を抱きしめて 五月の風に溶けてゆく自我
知ってるよ 包容力が抱きしめるときの 力の強さじゃないと
風船をとおくとおくに飛ばしてく 空と宇宙のさかいめ探し
かなしみは冷凍保存 もうすこし げんきなときによく煮てたべる
図星だと星が流れるしゃらららん きみにばれなきゃなんでもいいや
ネモフィラの 海はここにはないけれど ただいちめんの オオイヌノフグリ
木蓮の和毛で編んだセーターを ヤマネに着せる春のはじまり
クレンザー振ってタイルを洗う夜 お台所の床はふかふか
きえたいと思ってやめたその夜の きえたさはどこに集めておくの
音という文字は香水瓶に似て ひと吹きすれば淡く香った
正解の音をください なにもかも 手から溢れて残らない夜
静脈のほうから入れてくださいな ゆめときぼうとそれからあいを
そっけないやきそばがすき 具がなくて 麺とソースがただそこにある
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