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七夕じゃなくても逢えそうな
冬夜にこぼしたアイスミルク

石油ストーブのひそひそ話
薬缶の蓋がカタカタ笑った

錆びた鉄棒に
誰かが巻いたマフラー
今、ほどけた

年老いた犬、雪を食む
冷凍庫の奥に凍った蜜柑

終わらない冬はないって
あんまり好きじゃないな
否定じゃなくて春よこい

元気ですかとだけ
郵便ポストに呟く
キミも、僕だって
宛先のないはがき

雲ではなくて地面が平行移動して
るみたいだ僕たちを乗せたまま。

僕たちが乗り捨てた
自転車の前篭の中で
折り重なる落ち葉に
無口な霜が降りる

エウロパの氷の下でだって
暮らせる魚がいるのなら
僕らはこの冬を生き抜ける

キミと歩いた
いつかの冬からか
雪の少ない
僕たちの街に風花。

オリオンの。
そう、右肩。
頭乗せキミ。
三角なぞり

いつかプリントアウトした
写真を栞代わりにした
小説はまだ夏のページでした

雪虫が舞うと
命、たくさん
失われた様な
気がして白い
息、溢れます

コテ跡、珪藻土の
影で撫ぜる
冬至は鋭角
オイルヒーターも
キンと啼き、