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息子の買ってきたＴシャツ
まんなかになぜか大きな餃子の絵

社外秘と捺された書類を胸に抱く
君にもらった恋文みたく

吉野家のオレンジ色の看板に
恋はしてない空腹なだけ

空爆の続く街
瓦礫の陰に並ぶ犠牲者の入った袋
右から三番目が私の死体だ

朝日さすベッドの母の手を取って
死なんといてと言えばよかった

カブトムシ
お前って日サロ行きすぎじゃね

謝りたくない人に頭を下げる私は
謝りたい人に謝れない私だ

大阪市浪速区恵美須西に住む
通天閣から朝日が昇る

深夜二時幹線道路のうどん屋で
トラック野郎とあなたとあたし

元気でね
手を振りながら言ったけど
ほんとはずっといっしょにいたい

くちびるの端に残りし乾いた血
殴られてもまだ君が愛しい

さみしくて
ポストのようにさみしくて
君の手紙を食べてもさみしい

君の瞳の中に
今生まれた僕がいる
君の唇に
今ふれたぬくもりがある

友の年賀状届かず
出さなくなったのか
出せなくなったのか
ふと心配になる

いい子にしてると
天国に行けるらしいけど

私はディズニーランドがいいな

月曜日みな押し黙る通勤電車
乗ったそばからもう帰りたい

窓の外が明るいのは
お前の家が燃えているからだ

日差しに向かって
駆け出す子らの後ろから
人生もそうして進めと強く願う

去年今年戦火の報道耐えがたく
お笑いにチャンネルを変える屈辱

図書館が赤字だという政治家に
行政の意味をたずねてみたい

ニュース読む
アナウンサーの声高し
その場で死亡が確認されました

噛み合ってないと君は嘆くけど
噛み合わなくていいよね
きっと痛いし

分け合っても分け合っても
君が遠い

冬の朝　布団の中で猫を抱く
このまま世界が滅びればいいのに

落ちれば粉々に割れそう　冬の月

ペンが剣よりも強いなら
どうすれば私たちの言葉は
あの戦争に届くのか

電線を鳴らす木枯らし祈り裂く

ガザ地区の戦死者、
七割近くが女性と子供　国連発表

指一本　人を殺せるＳＮＳ

ホワイトアウトしたような
冷たい孤独の中で
私は一人　完結している