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対岸に霧の食卓
とどかない水切りだから
投げられる石

音もなく果肉は爆ぜた
心臓がなくとも濡れる
仕組みを持って

自転車で坂道をゆく
髪型が風の好みに近づいてゆく

液晶にそれぞれの神　親指の
祈りのような十字の軌跡

シロナガスクジラの間合い
ツー・トトト
同じかたちの骨光らせて

アメイジング・グレース　
世が世ならきっと
このTシャツは法に触れてる

光輪を外した指をからませて
想像よりも明るい堕天

繁殖の作法にならい膨らめば
胸鰭はもう誰かのもので

花を挿す
その手のひらに射すひかり
いつかあなたを刺すペティナイフ

ガソリンに、虹　走らなきゃ　
飛べなくたって飛びたかったよ

お別れは
手を花みたくするでしょう　
泣いても笑っても　そうでしょう

花　はらら　
咲いてみたとてさみしさは
降り積もること　それだけのこと

屋上に立てば首長竜だから
化石にならない涙こぼした

雨音が二段ベッドに迷い込む　
あの母シャチは、多分、泣いてた

最期まで骨は正しい位置にあり
父はそういう星座になった

神様の似姿として
僕たちの
握れば骨の浮き出る拳

点滴と雪の速度が重なって
離れるまでの
息の止め方

教室は三十一の離島です
やさしい国はどこにもないです

車窓から猫つぎつぎと放たれて
いい日だまりを探しに行った

公園にすごい猫背の神がいて
あらゆる鳩を許さなかった

かむろ菊
渡せなかった花束を
瞼の汀 手向けるように

さようなら
血を分けあった蚊を潰す
祈りはいつも棺のかたち

花の名をつけてあげると君は言う
誰も焼かないやさしい火なら