「俺」と言う奴らが放つ 「わたくし」の 柔らかさのみ詰め込んだ部屋
悲しいと先に言うのを待っていた 二人ぼっちの風のピンポン
図書館に宿る香りがまだ残る 同窓会の片隅の君
痴話喧嘩ばっかり 深夜のファミレスで 希死念慮掻き乱すハンバーグ
「親友」を まだ知らないで生きている 「大ともだち」の一ねん二くみ
少子化で消えた三年六組の 曇りガラスに映る鶺鴒
雲にさえ逃げられている夕暮れの 非行少女に向かない季節
「天国も地獄も心の中にある」 心療内科の風のおたより
深夜二時 スマホのいのちは一パーで 「おやすみ」 をギリ打ち終えて死ぬ
青春を夏に捧げず生きてきて 吹奏楽部の本が読めない
いま一度雷雨の中を直走り さよならだけを奪い去りたい
わたくしの鬱を流せよ暴風雨 ひとのカタチを少し崩して
プレイバックフラッシュバック また息をする夏
これは雨、涙じゃないと嘘を吐く 梅雨ごろ覚えた「かわいい」女
五月雨に 消え去りそうなほどワタシ
十二歳、五月くもりの自習室 おまえの孤独をみごもる午睡
どんな目で話せばいいの 休学をチェ・ゲバラらしく 告白するきみ
青空にありおりはべりいまそかり これまで生きているということ
竹箸を使いたかった左手で あなたに生えた翅を捥ぎ取る
死ぬまでの長い小路を 何気ない 詩が一緒に歩んでくれる
私の見つけた秘密が暴かれて あのひとはきょうはなよめになる
重圧を掛けられながらまだ春は 陽気な季節を保ち続ける
愛されたままでいさせて月曜日 (続きは明日の折込チラシで)
気の抜けたサイダー シンクに垂れ流す 少女の挫折を紛れ込ませて
ゆーとぴあそんな程度の学歴で
死んだあと遠雷になる不確かに 恋をしていた日々の欠片は
ぶらんこよ眠れ風にもそよがずに ひとりの子どもに寄り添うように
羽化ばかりしていて蛹のその先へ 行けないままで眠る黄昏
鳩に訊くまぶたに線の無いことが 乙女としての罪であるかを
もうろうと おとなになってゆくたびに 『私』を置き去る気配がしている
詩
俳句
川柳
短歌
アフォリズム
全種類
完全一致