レシートをまっすぐ折って花曇
石段に合わせる歩幅つくづくし
竹林をのびちぢみして石鹸玉
いつか君が示準化石になるときに 撒くね水風船の破片を
スカートからスカートへ 埃が飛んで 電車は冬の陽だまり運ぶ
風呂蓋に冬蝿がいてそれを流す
父だと言われれば そんな気もしてきて 声が格好よくて嬉しい
花束をほどけば寒月の欠片
月冴えて二段ベッドに木の梯子
羊みな耳標を持って冬茜
海豚とキスする人を見ている真昼
旅立の日をビロードのような雪
年越の蛍光灯の紐を引く
先生が好き 水仙の丘にいて
小寒のテレビの照らすカップ麺
前髪にまばたき触れて雪催
母でない女が待っている寒夜
風邪の日の壁が迫ってくるような
恋愛から愛を引いたら マイナスになって 鏡の色で光った
マヨネーズ逆さに置いて初時雨
悲しいよりも悔しくて くちづけチーズケーキ
立冬の明日映りにゆく鏡
具の沈むおでん テレビは二画面に
君の名を書いてみたくて 書いてみる 綺麗な光だけ差す部屋で
全員に好かれたいけど 全員に嫌われたくて 今日の深爪
全部嫌で寂しくて秋雨きれい
泣いていることを責められ虫時雨
チカチカのチは点でカは滅である 来世は雪になる信号機
桜咲くことがニュースになる国で 光に重さなんてなかった
ジャンクフードのにおい抱える 秋の暮
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