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此処からは
言葉を泳ぎ切りなさい
夏の豪雨のシャッター下りて

思ったよりざぶんと沈み入る
ソファ
繁華街でも眠れるために

半身を忘れるように置いてくれ
靴いっぱいに雨溢れてる

夜の秋頬から離すガラスペン

(七月八日)
織姫は再冷凍をねがいでて
でも翌年の溶けかけが痛い

ほら穴に眼窩合わせて視野検査
無垢の点滅生き絶えそうに

紫陽花は花言葉には溺れない
マイマイいつか戻っておいで

さっぽろって
熱いラーメンぽろぽろと
雪夜の下に垂れてくる街

陽光はガラスのような鋭利さで
ヘッドライトのいのちを抜いた

恋敵青田を挟み睨み合う

万緑の下にごろりとお母さん

こどもよりことばを
　わからなくなりたい
おしえるように
　しゃべりたくない

水栓を捻るのと小さな悲鳴は同じ
ヒュッ

はじまりなのに終わりのように

ごぼごぼと
急に咳き込むように鳴る
パン焼き器だけがたのしみな朝

永遠のようにラジオが流れる
氷は踠く水枕のなか

公道で大の字になるゆめがあり
遠乗り会がひろってくれる

リビングに五分と居ない兄さんが
フリマなんかを開いてる春

臆病を兎に押しつけ三日月の
見えないぶぶんに避難している

ゴシチゴヤシチシチと虫
忍び寄る樹液のうたに
月光あそぶ

絶滅の果てを祝ぐ暖雨なら
　タッピングせよ心臓はここ

月曜の酒を舐めとりながら這う
サラリーマンと逆方向に

片道の燃料でしか飛びません
ずっと祖国に嘘を吐こうな

洗い髪の雫が落ちてく
リズムのかなしさはなんだろう
恋じゃ無い

情熱は
縛られてラクになるんだね
雨音は次の雨音を乞う

「リロードできません」の
液晶画面直らずに
自由へのsign　in

くうどうに
ただ落ちてゆくひとりごと
裏返るのは瓶底の憐憫

「こうしたら、
泣いてるなんて飛んじゃうよ」
睫毛にあつまるひかりの仕事

槍っぽい雨をかついで労働者
なぜ透明になろうとするの

戦場へ還るリーダーは
ずた袋の言葉をかつぎ
「感謝が足りない」

消灯の
話を聴いてやれなくて
明日のきみにも熱を注げず