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ゴシチゴヤシチシチと虫
忍び寄る樹液のうたに
月光あそぶ

絶滅の果てを祝ぐ暖雨なら
　タッピングせよ心臓はここ

繋がれた馬首を両手で撫でゆけば
ハープの音色海へ駆けたい

月曜の酒を舐めとりながら這う
サラリーマンと逆方向に

片道の燃料でしか飛びません
ずっと祖国に嘘を吐こうな

洗い髪の雫が落ちてく
リズムのかなしさはなんだろう
恋じゃ無い

情熱は
縛られてラクになるんだね
雨音は次の雨音を乞う

「リロードできません」の
液晶画面直らずに
自由へのsign　in

くうどうに
ただ落ちてゆくひとりごと
裏返るのは瓶底の憐憫

「こうしたら、
泣いてるなんて飛んじゃうよ」
睫毛にあつまるひかりの仕事

槍っぽい雨をかついで労働者
なぜ透明になろうとするの

戦場へ還るリーダーは
ずた袋の言葉をかつぎ
「感謝が足りない」

消灯の
話を聴いてやれなくて
明日のきみにも熱を注げず

羊水の光芒を
たまにからめとる　ような
ソファのかわいいバタ足

暗室のスリット検査に撫でられて
ちかくてとおい距離の蒸発

がに股にしゃがんで放つ海亀に
産んだだけの
かあちゃんがほしいよと

あなたが痩せた隙間から
青空が余計に見えた
小脇に抱えきれない空

左みて右みて潜れこの恋は
白詰草の花言葉識る

落葉を引っ掻きながら抱きよせる
こんもりとただ兵士のように

　連弾もするんだねきみの恋　
胃の左右にぶつかりながら
　堕ちる石

真夜中にやさしい轟音を散らして
除雪車は来る　一人は何処だ

りてらしぃりてらしぃ
キャンディのように沁沁
孤独を生きられますか

今年度儀礼一切に関せず
桃のむくみのように呆ければ

肥厚した紋白蝶が望むのは
ダンデライオンを降りていく靴

カンツォーネに
空の過緊張は止み
悪意は天気雨の華やぎ

満月は
わけっこできないやわらかさ
線をひけない枯れ木に頂く

耐え難い事実の咀嚼をはばむため
生クリームは産まれてきたんだ

セキセイの風切羽は畳まれて
腰がまがった老齢の腕

病める日も健やかなる日も
私で赦されていた
ウェディングドレスよ

ほんとうに足を運べず死ぬのかな
名景50の写真集を手に