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テントにて。
今から六十二年前
母のお腹で過ごした最後の夜だ

業スーで
週二ペースの刻みネギ
今日はラーメン
麺は二層目

偏愛のトップライト
曇り空の松川ボックス

月曜朝七時
「熱出た。来れるー？」
娘の切実
じいじの幸せ

奇異なるルーティンを
修正することはたぶんできない
「また来るね」
「うん」

閉じた瞼の
左斜め上で破裂した光は
俺の反乱か？

なにをやっても上手くいかない
脳みその奥底で
寛いでるやつがいる

奇行の先の無表情
セピア色の満面の笑み
直向きさはたぶん同じさ

戸塚宿　今はイオンの江戸見附
孫の土産と　弁当二つ

思春期以来のANN

還暦のリトルトゥースとなる

三十八度は平熱で
ご飯は食べたと嘘をつく
八十五歳の　母は穏やか

よちよちの
二足歩行の行き先は
俺かばあばの二択問題

秋には卒寿
「予定外だ」と笑う父
仲良くしようぜ　サルコーマ

キラキラの
木造二階のマイホーム
平均寿命は三十年？　　

娘からSOS
連日の送迎
自由業を噛みしめた卯月の首都高

四月を限りのKK線
既に残像のカプセルタワー
今宵、癸卯の同期会

新聞やめて二十年
テレビを捨ててほぼ一年
パンフォーカスの透明度

解放へ、、

ヴィラ・クゥクゥには矩がない

毘沙門の
漁港の先のプロペラの
さらに向こうに風は見えない

一人暮らしの六畳一間で
独りになれるテントを据える