街にある消火器すべて 首吊りの他人のような赤々しさだ
バス停が海、 それに対して陸がある 割合のまま落ちる陽のかげ
最終手段加温加水に見放され 旅人たちは故郷の匂い
遠足の歩く速さの真似をして 好きになることを練習する
ランタンの破片が散れば ゆきぐにの移動手段が 競技になった
売るものがないときに売る たましいを整頓しておく無印の箱
暴力を数えてみても 不確かな単位で詰まる答案用紙
流木の最後の最後に立ち会って 火花は互いに一方的に
果物を深いコップに落とす時 潜水艦は空を忘れる
心臓の位置は大体ここでしょう 無重力には頼らないまま
東から西に暮れても飛蚊症
ジョークで終身刑が 二回ある国に生まれた シリアルキラー
一点を春につかれた風船が 半年かけてしゅららとしぼむ
急流に乗っかる裏でゆっくりと ムーランルージュの風車はまわる
水が鳴る 攫われたいという気持ち 物語からきているだけだ
天井が遠い 布団で寝る時は 天井すこし落ちてきてくれ
金星をキューで打つよう計画し 誰かの余所見を待ち続ける
花束を活けるわたしは茎を切る
副業でボールペンのと同質の バネを剣の柄に仕込んだ
どうしても明るい道を歩きたい、 砂漠は白いと聞きましたが
排ガスの薫陶をうけ成長期
折りたたみ梯子は軽い木製で 裸足でのぼる前提で買う
ごみ捨て場拾った星の王子さま 英訳版は邪魔する夕日
卒業でみんな一度に 常温にもどした バター百グラムになる
いっこうに上場しない企業への 向かい風にはミルクジェラート
香水のひとふき中の子鹿たち
助かったなんて言えない ケーキ屋にケーキが 並んでいる限りは
乳ばかり でっかくやわくなっていく 今日は初めて頭を染める
日光で青磁色にも見えそうな車を 走らせ東の海へ
君は酔う菓子で世界を多頭飼い
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