ご陽気と対立している 文学の頸にも太い静脈がある
地下街で 踊るサロメの液晶を見ながら 飽きを知ったんだろう
のらねこが 見ている夢の終盤の香りは かなりコインランドリー
そびえたつ時計台には蒼白な顔で 西日を睨んでほしい
脈拍の倍々ゲーム 七月に十三月の短さを知る
光年が距離だと理解するまでに 枝がわかれて林檎が実る
飲み込んだ自分の唾で太りだす からだとこころ 太陽が白
辞めることを君と話して息をして 肺と鰓とで呼吸ができる
詩集にはシロツメクサの白色と 緑のような対比の余白
東京の摩天楼から下にある 東横インを数えるゲーム
なにものも代表しない 君んちの駅には空の広告枠
写真には残さぬような生活も 海底があり錨を下ろす
賭け事のはずれくじには 正体がないのに目があう 飴も差しだす
鉄砲のかたちにかまえ輪ゴム飛ぶ 錬金術はまた嘘でした!
抱擁は割れた貝らが ゆっくりと うずまきのなか戻っていくさま
日曜は あれもできるしこれもできる 回路の癒着はずっとそのまま
人体を知れば知るほど からだじゅう 電気まみれの明るい世界
飛んでみて着地ばかりを考えて 怒りの鳴り方こんなやわらか
贈られた指輪を薬指につけ 金環蝕とこれから生きる
雪かきをためていまさら嫌になる
木琴の連符が月から鳴っていて 録音してもいまなら無罪
体温と気温がほとんど一致して 実質おれはいないようです
蜂蜜を口にふくめば 人生をやり直せると誘われました
音が出る雨と出ない雨があり 近い窓辺と近づけない窓辺
全身をつつむタオルの毛羽立ちに 死んだ魚の楽園を見る
我らって感じの フォークで麺を吸え ABCを習ったように
マドンナの素材は氷河 融解はとても冷たい電流になる
人間は猫を理想化しまくって 話させているエスペラント語
制服は下から冷える 人間が切り花だった時代を思う
死にたいとハワイへゆけば 二日目に おまえに訪ねてほしい気がする
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