グリッターまみれの指で 来月のないカレンダー 捲りましょうね
靴下の穴から指を入れてみる 旧い家族の感触になる
雲間から降る鈴の音を聞いている 燃料費など算段しつつ
寒くなるほど うれしい腕を遠くまで いずれは山葡萄の垂れるまで
梨のみず持て余しつつ ゆっくりと 星の発酵してゆく暮らし
ふんぱつのぱつぱつの腹 ふんぱつのぱつぱつの腹 秋刀魚を踊れ
ぶらんこに風なまぬるく 山神に添えられた子の 声が聞こえる
ぎんいろの帰路のまんなか 秋茱萸のはずみに 何を忘れたのだろう
ゆっくりでいいから 巻き戻してほしい プールの鴨を見ていた時間
次に生まれたいかたちを尋ねれば あけびは薄紫に笑った
選ぶ人 読み聞かす人 睡る人 みな襟足をそよがせながら
窓硝子越しに漆器が喋りだす 行きには静かだったギャラリー
二枚取りの 肉を頬張る瞬間に 迷ったでしょう そういうところ
砂浜をアイスそんなに頬張って ああほらコーン砕けてしまう
野苺の奥の渋みを知ってなお こころは問いを手放さないよ
とうめいな箱を 横切るたび ネオンテトラの 鈍くなるきらめきの
どこまでも伸びるチーズに うれしくて 目が覚めたなら無臭のピッツァ
薔薇園に サインポールを燃やしてね いつでも約束を忘れてね
お守りだなあって眺める つむちゃんだなあって眺める ゆるい海
もう桃はじゅうぶんです と 泣くきみの 夢のなかでは薄いくちびる
ネクタリン切り分けながら 眩しさに殺される 細胞のいくつか
サファイアの椅子よ あの子の王国を どうして片付けているのだろう
微睡みの駱駝に銀の砂が降る 千年先の露天風呂から
風のよく飛び込む席で カフェオレの とても平らなこおりを混ぜる
折れそうな茎をゆるゆる支えたり 手はつる性の優しさをもつ
八月の薄明るさに起こされて 研ぎ汁の澄むまでのひとりだ
カリフラワーとして 生まれて初めての陽射しを浴びた 酢漬けの頃に
読めなさに あの子の地元だったこと だけを浮かべて 看板を過ぐ
極楽のほうを向きつつ食むすいか 味覚は解夏ののち澄んでゆく
かすがいにもうならなくて いいからね お魚焦がしちゃってごめんね
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