幽霊が遅刻してきていたましい
致死量の核家族を浴びる
ふりむいて ふりかえったら ここはどこ?
妹のせいでいまでも兄の顔
ゆびをさすさきからおちて光る星
路地裏に影だけが舞う冬の蝶
花柄の幽霊がいる冬の海
赤ちゃんをとりに出かける眠る山
雪を踏む足音だけがついてくる
鳴るたびに妹が死ぬ除夜の鐘
首のない妹たちの見分け方
存在しない恋の教訓
かみさまに指をさされて冬椿
妹の影だけがない雪月夜
俺が泣く犬ひかり出す冬の夜
ゆうやみのやみのさなかの赤い靴
四歳のわたしを今も探しています
秋茄子のにおいだけまだ家にいる
妹のものだとなぜかわかる影
古本のわりに笑うと歯がきれい
妹のひとさしゆびが秋の影
蜘蛛の糸で首を吊る
ペンダントトップみたいな県境
妹の後ろ姿の秋入梅
ゆうやけがまだ帰ってくれない
暗がりに触れて爪から消える妻
おもいでに火を灯したら蛇花火
花柄の幽霊がいて秋を知る
秋時雨 君はいまから図鑑です
鏡台の右側だけにうつる母
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