まばたきは小さな他界 葉陰には 横顔の記憶が多いでしょう
繰り返す日々のわたしの不確かさ 車窓に透きとおる影うつして
読書灯の影ゆらめいて、 たった百年後の 地図を知り得ないこと
出国ゲート超えて私は人になる それまでは桃色のおとうふ
街路樹の剪定されたあかるさを わたしもうつくしいと思うけど
神様ほんとうに雪が降りました おれの上にもおなじ白さで
また同じまちがいをする わたしたち来世を 生きているはずなのに
戦前はどういう貌をしているの ネイルにふかい赤をえらんで
この町の過去を未来を知るような 給水塔の遠いまなざし
ひたひたとポスト見にゆく きっとない葉書 いちまいあるかもしれず
ありふれた寂しさに名前をあげる おいでさびちゃん雪の朝だよ
蠍座にうまれて あなたがオリオンの神話を 教えてくれて、それきり
秋生まれだから知ってる わたしまで届くひかりの永い話を
ためらったことばを埋めて、 雪原によく似た キーボードの踏みごこち
きょうの月は 胸にすとんと落ちてきて、 浮かぶまで通知を切っている
さびしさを海と喩える歌を聴く わたしの砂漠はわたしの砂漠
秋雨は どうやったって積もらないから 映画のあとは話したくない
金木犀のにおい、 わかっていないのに 頷いたのが罪だとしたら
あなたにも怖い木目があったなら 話してもいい埋葬のこと
渇きから順にわすれる 誰だってよかった日々に一面の葦
殺す夢はいい夢だよとミキサーに ひどく氷を砕かせながら
観覧車 しずかに煙る遠景の くだりのほうが長かったこと
地に足をそんなにつけて 人ならば冷えた踵でひとり歩けと
すっぴんのわたしと見合う洗面所 赦しあわないことを赦せば
耳朶にひかりを纏わせるための 穴があること 朝のつめたさ
夕立のなごり気だるく 歩くより泳ぐかんじでゆく下り坂
すべてのわたしは一過性 惑星の模型の中をひとり巡った
わたしがぜんぶ悪かったですと 心から言えたら 来世きれいな檸檬
コンタクトレンズを外すとき どこも見ていないから 可視光の果て
わたくしが宮殿ならば さびしさは ダンスホールのまばゆさとして
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