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雉の巣の俺だけは不良のように

子宝に恵まれなかった叔母の居る
祖父母の家の庭を

雪客

【破水】

という言葉の一義性を前にして、

それでも俺は水を破壊できない。

胸開くにもコツがいる秋の浜

俺はくたびれてしまった
革ジャンの
胸ポケットを眠る雲雀だ

まるで俺を
ずるいと責める涙痕が
火車婆に攫われてゆく君が

俺は雨になるよりもっと逞しく
遡航する夏の雁になりたかった

腐らせてしまった水を
墓場まで
持っていくつもりで盗った梨

教わったことも
も無く焚き　無
と　む。火　け
こ　こかを　れ
ういとるえ教ば

俺もたぶん、排卵後には止む白雨

紙切りの人やってきて鳳梨生る

これからの♂に粘着力が要る

商談に嘘混ぜてみる鴨居の忌

幕は下りるものではなくて
下ろすもの
センキュー
アウア
サマー　ポストモダン

パスポートセンター
の待合室
の行列に加わり
精巣の内部など夢想していた

揺れるもの好きだから揺れる自分
も好きになる出来心くずれる間の

書簡体のまま死にたい死にたくて
飛行機からこぼれ落ちようと恋情

されて　あり　翅
のこ　の　むれ
が　だけ
せみ

快楽のための耳に元素あつめる

断るのサブテーマでいく夏休み

一行の短歌の
槍のような譜が好きだ
刺しても刺されてもいい

ふえ方の
無性生殖気持ち悪い
悪意の文章が読みやすい

シャンプーの
テスターを嗅ぐ
（政治家は）
サボンのかおり
（どこの棚かな）

あらかじめ
血が付いているちり紙で
しりを拭こうか
くちを拭こうか

梅雨冷えて
まだ従犯を言ってない

誕生日ってだけの日に下手な短歌
送りやすい連絡先数えたら十一個

練習をする
誰かを殴る
手に聴きつつ
向こうの沙漠を
サンドバッグの

定型に崩す崩さず春の嵐

くもを殺して
くもの巣が古くなる前に嫁ぐ

ノーム潜む偽の乳から金脈の臭い