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引き留めなかったのは
あなたの優しさ
振り向かなかったのは
あたしの祝福

「逞しくあれ」と
彼からの返信
可愛い振りじゃダメなのね
よし本気出してくぞ

有給休暇を持て余し
カラオケ個室でフリータイム
意外と楽しすぎて笑った日

甘い苺を口に入れた瞬間
本当に好きな人は誰なのか
気付いてしまい愕然とする

意気込み入った居酒屋は
おひとりさまが多数派で
胸撫でおろしハイヒール脱ぐ

退職を決めた途端
仕事の成果が上がるって
一体どういうシステムなんだ

嫌われないよう
素敵な自分を演じる
愛さないよう
つまらない誰かを好きになる

白い黒、黒い白
見分けられるほど
人は賢くないが
染められるほど
愚かでもない

駄目だと知っていて
嘘だとわかっていて
それでも尚、人は傷付きたがる

春一番が吹いた日に
まさか失恋するなんて
面白いじゃん人生って

支えてくれて邪魔もする
いつも人生につきまとうのは　
曖昧な愛の記憶

大袈裟な天気予報なんかより
君の身体の内側に
聞いてごらんよ怖がらず

何かのためじゃない
誰かのためじゃない
自分のために生きろ

子育ては卒業
部屋なんて行かない
天気予報の設定が
あの子の町だと言わない

愛がないと知っていて
抱かれた記憶さえなくて
それでも子供は母親が好き

昼夜を問わぬ詩句投稿
まるでメビウスの輪のように
みんなの気持ちを繋いでる

「大丈夫？」って聞かないで
君が私を選ばないのなら
返事くらい私に選ばせて

末子の帰省が終わり
財布は軽く気持ちは重く
手間かかるほど何とかって本当に

揚げ物とパスタとすき焼きと
帰省日恒例の自己満足
わかっているけれど

年明け前の喫茶店
言葉が要らないテーブルの中
パスタを茹でる音だけ響く

喉の渇きには水
珈琲じゃない
愛の渇きには君
あの人じゃない
わかっているけど

テレビも新聞も　
ネットも噂話も
届かぬ場所で生きたい
かなしさと引き換えに

蝶々結び
箸の上げ下げ
ペンの持ち方
誰かに愛された証ね
目を背けたくなるほど

閉店間際のコーヒーショップ
帰るって一体どこへ
せめて凛としてストロー啜る

あの日一度だけ振り向いた君に
ぼくはいまだ問い続ける
星降る夜も混雑の朝も