やわらかな土をこぼした鉢の木の 根はひとりでにエアコンを消す
満潮のさらう砂上へ 海だけが覚えてしまった ひと篇の詩句
夢をあつめてきた朝の突風は おれに何かを思い出せと言ふ
絵のやふな殺人現場 詩のやふな非道い言葉も 在るよ霜月
たゆたいて流るサイレン 火の煙あがりて空と曖昧に通ずる
苔のむす墓 どうしても一切が美しくって やりきれぬ人
うつくしいものを殺して 食べた日の夜寒に 息は白くかがやく
遅ればせながら 正しく生きようと思う 春泥につつまるる足
透明は深い水色あさがおの せつなさだつて現のことです
身の置き場のない夜風が 吹きだしたままに 車に追い抜かれてく
火葬場の煙突の優しい高さ やわらに落ちる名を知らない葉
被告人原初の微生物へ告ぐ、 全ては仕方ないものでした。
「突風は忘れ去られたおもいでを 抱いてとおくの海へ抜けたよ。」
街灯は明ける夜へと沿うように 消えてくゆめをみてた気がする。
・・・---・・・と 脚で水面をたたくあめんぼ
風と火と木葉はそこにあるがまま 森林火災は宇宙に沈む
草笛を吹いて方舟として出す きっとそういうふうに終わるよ
われわれは 黙れぬセイタカアワダチソウ 国道沿いになびけたらいい
それぞれの夜は連なり 白線の内側で在る惑星の直列
窮屈な世界を窓からすこしだけ いれてやる詩がほのかにはためく
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